国内外で減少傾向続く新車生産、中国は減少幅が小さく:自動車メーカー生産動向(3/3 ページ)
日系自動車メーカーの減産傾向が続いている。2024年10月の日系自動車メーカー8社の生産は、国内外で伸び悩んだ。
スズキ
スズキの10月のグローバル生産は、前年同月比3.3%減の28万7423台と5カ月連続で減少した。このうち海外生産は同3.4%減の19万4747台と5カ月連続のマイナス。世界生産の6割を占めるインドは、SUVは増加したものの小型車が減少したため同0.5%増と前年並みで、2カ月ぶりに増加した。ただ、前年の増産の反動減が表れたハンガリーや、「キャリイ」や「エルティガ」が減少したインドネシアなど、インド以外の海外生産が同30.6%減と大きく落ち込んでおり、20カ月連続で減少した。
国内生産は、前年同月比2.9%減の9万2676台と3カ月連続のマイナスだった。2023年11月以降に新型を投入した「スペーシア」や「スイフト」など国内市場向けは好調だったものの、欧州向け「イグニス」の生産終了などがマイナス要因となった。輸出も同27.1%減と2カ月ぶりに減少した。
ダイハツ工業
ダイハツ工業の10月のグローバル生産は、前年同月比4.3%減の15万1068台と3カ月連続のマイナスだった。国内生産は、同3.9%減の7万7142台と3カ月連続で前年実績を下回った。登録車は同30.6%増と大きく回復したものの、軽自動車が同16.0%減と低迷した。
海外生産も伸び悩み、前年同月比4.8%減の7万3926台と、5カ月連続で減少した。インドネシアが同9.8%減と低迷していることが要因だ。ただ、マレーシアは同1.3%増と増加し10月生産として過去最高を更新した。
マツダ
マツダの10月のグローバル生産台数は、前年同月比2.1%減の11万5812台と3カ月連続のマイナス。主力の国内生産が同10.2%減の6万8653台と3カ月連続で減少。車種別では「マツダ3」(同41.8%増)や「CX-90」(同12.2%増)が増えたほか、新型車「CX-70」や「CX-80」の純増があったものの、「CX-8」の生産終了や、主力の「CX-5」(同31.9%減)の大幅減産が響いた。輸出もモデル切り替えで在庫整理を実施した欧州やオセアニアなどの2桁パーセント減により、同11.5%減と低迷した。
一方、海外生産は好調を維持しており、前年同月比12.6%増の4万7159台と7カ月連続で前年実績を上回った。8社の海外生産では最も高い伸びを示した。このうち北米は、メキシコが同12.0%増と3カ月連続でプラスとなったほか、23年7月末から2直化した米国は同81.2%増と伸長。タイもオーストラリア向け「CX-3」の輸出が増えたことで同3.2%増と6カ月連続で増加した。ただ、中国は新型EV「EZ-6」の生産が開始されたが、マツダ3の減少により同15.7%減と4カ月連続で前年実績を下回った。
スバル
10月のグローバル生産で唯一前年超えとなったのがスバルだ。前年同月比4.4%増の9万6028台と4カ月ぶりのプラス。8社の順位でも、三菱自動車を上回る7位を8月から3カ月連続で維持している。国内生産は、同3.8%増の6万179台と3カ月ぶりの増加。輸出も同21.5%増と大幅に増え、2カ月連続のプラスだった。唯一の海外生産拠点である米国生産も好調で、同5.6%増の3万5849台と4カ月ぶりの増加。一時的な調達先からの部品納入遅れによる減産影響が解消した。
三菱自動車
三菱自動車の10月のグローバル生産台数は、前年同月比3.2%減の8万7191台と9カ月連続でマイナスだった。スバルを下回り、8社の順位では最下位。国内生産が、同8.1%減の4万2272台と3カ月連続で減少した。前年投入した「デリカミニ」が一巡したことに加えて、日産向けOEM(相手先ブランドによる生産)供給するEV「サクラ」や「ルークス」の低迷、北米や欧州、アジア向けに輸出する「アウトランダー」の減産などが要因。輸出は同15.8%減と3カ月連続のマイナスだった。
一方、これまで低迷が続いていた海外生産は、前年同月比1.9%増の4万4919台と9カ月ぶりにプラスへ転じた。主要地域である東南アジアは、最大拠点を構えるタイは同13.0%減と依然として厳しいものの、インドネシアが同49.1%増と大きく回復し、2カ月連続で増加した。
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