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“車輪の再発明”に本気で取り組むソニーG、段差に強い新たな車輪機構を披露:ロボット開発ニュース(2/2 ページ)
ソニーグループは、「建設RXコンソーシアム エキシビション 2024」において、2024年10月に発表した、段差に強いオムニボール型ロボット移動機構の進化版を披露した。
スライド構造をなくしピンで代替することで踏破性と耐久性を向上
新機構は、球を3つの構造体に分けるところは従来と同じだが、段差に引っ掛ける部分を球のスライド構造とするのではなく、ピンを配置した点が特徴だ。
「新構造は、さらに高い段差踏破性能を実現したことが特徴だ。さらに整地走行時に低振動、低騒音を実現し、小型で高剛性、高強度、高耐久性を確保する。さらに部品点数が約18%削減できたため、低コスト化も可能となる」と本郷氏は利点について語る。
踏破性能については、従来が車輪直径の35%の段差を越えられたのに対し、50%以上を踏破できるという。「直径の3分の2までは、この構造で踏破できる可能性は見えた。今後はそこを目指してブラッシュアップしていく」(本郷氏)。
ソニーグループのロボット移動機構の新構造デモの様子。直径50%の段差を踏破できる[クリックでWebサイトへ]
点字ブロックやケーブルの上でも難なく踏破できる[クリックでWebサイトへ]
受動機構だけでの活用など幅広く展開を模索
ソニーグループでは今後は新機構のブラッシュアップを進めていくとともに、用途開拓などにも取り組んでいく。「今回は建設RXコンソーシアムでの出展で、建設ロボット向けで提案したが、多くの問い合わせを得られている。ただ、用途を絞りすぎずに幅広く提案していきたい。使い方も、ロボットの移動機構を想定しインホイールモーターと組み合わせて使うことを考えているが、受動機構のみでも活用できる。用途を幅広く模索していく。そのためのパートナーを募っていく」と本郷氏は述べている。
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