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APNを用いたクラウド内視鏡システムを構築、リアルタイムでの診断を実証:医療機器ニュース
日本電信電話とオリンパスは、IOWN APNの低遅延性能を生かしたクラウド内視鏡システムを構成し、約150km先のサーバで処理した映像をもとに、内視鏡医がリアルタイムで診断、治療できることを実証した。
日本電信電話(NTT)とオリンパスは2024年11月19日、IOWN APN(APN)の低遅延性能を生かしたクラウド内視鏡システムを構成し、約150km先のサーバで処理した映像をもとに、内視鏡医がリアルタイムで診断、治療できることを実証したと発表した。
実証実験に用いたクラウド内視鏡システムは、内視鏡映像を入力するエッジデバイスとエッジデバイスから約150km離れたところで映像処理をするサーバの間をAPNで接続したものだ。
内視鏡スコープで撮影した映像を内視鏡プロセッサを介してエッジデバイスに送り、映像を圧縮せずにAPN経由で約150km先のサーバに転送する。サーバではAI(人工知能)などが映像を処理して、エッジデバイスに返送。エッジデバイスに接続されたモニターで処理後の映像を出力する。比較として、エッジデバイスとサーバを約5mのケーブルで接続したローカル接続も設置した。
実証実験の結果、データ転送の遅延値は目標値の10分の1の速さとなる1.1ミリ秒だった。また、内視鏡操作者が目視で確認した映像比較評価でも、APN接続とローカル接続とでは、遅延、揺らぎのどちらも差は感じられなかった。
今回の結果から、クラウド内視鏡システムに必要な大容量ネットワークと、映像の低遅延の問題をAPNで解消できることが実証された。両社は引き続き、クラウド内視鏡の社会実装に向けた技術課題の検討を進める。
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