3Mが山形事業所がキッチンスポンジと内外装用装飾フィルムの製造工程を披露:メイドインジャパンの現場力(3/3 ページ)
スリーエム ジャパンは、同社の製造/研究開発拠点であるスリーエム ジャパン プロダクツの山形事業所(山形県東根市)で製品説明会および工場見学会を開催した。
ハイブリッド貼り合わせスポンジの構成とは?
スリーエム ジャパン プロダクツの山形事業所が生産している代表的なスポンジたわし製品は、家庭用キッチンスポンジ、業務用キッチンスポンジ、バス用クリーニングとなっている。いずれも3Mの「スコッチ・ブライト」シリーズの製品だ。
同社 研磨材関連製造部 マネジャーの大沼裕司氏は「山形事業所には研磨材の製造設備があり、研磨能力が異なるさまざまな研磨材を生産している。これらの研磨材を活用して、スコッチ・ブライトシリーズの抗菌ウレタンスポンジたわしやハイブリッド貼り合わせスポンジといった多様な家庭用キッチンスポンジを製造している」と話す。
抗菌ウレタンスポンジたわしは、緑色の不織布研磨材や黄色のスポンジ、これらを接合する接着剤から成り、不織布研磨剤部分で洗うことによりコゲや汚れのこびりつきを落とせる。
ハイブリッド貼り合わせスポンジは、こびりつた汚れを落とせる大きくソフトなクリーニング粒子やくすみを落とせるミクロサイズの硬いクリーニング粒子、不織布繊維、これらのクリーニング粒子を不織布繊維に固定する接着剤で構成される。このように2つの粒子を組み合わせることで1つのスポンジでも多様な汚れに対応できるようにしている。
工場見学の概要
工場見学では、エンボスや表面コーティング、表面の品質検査などが完了したダイノックフィルムに対して行う、余分な部分を切断するスリット工程、裏面の外観検査工程、パッケージング工程を披露。併せて、抗菌ウレタンスポンジたわしの3層リーフ型と角形の貼り合わせ工程、カット工程、整列工程、パッケージング工程も紹介した。
ダイノックフィルムのスリット工程では余分な部分を一定の長さに切り取り巻き取る。裏面の外観検査では専用のカメラで撮影してごみの付着や穴がないかを確認している。パッケージング工程ではラップアラウンド形式を採用。同工程では、ラップアラウンドケーサの上部にあるブランクシートの上に、スリット工程により巻き取った筒状のダイノック フィルムを挿入すると、全自動で段ボールで包み込む。
抗菌ウレタンスポンジたわしの3層リーフ型と角形の貼り合わせ工程は接着剤により不織布研磨材とスポンジを専用装置で接合し大面積のキッチンスポンジとする。このキッチンスポンジに対して、カット工程では3層リーフ型は形状に曲線があるため専用装置でくり抜き、角形はカッティングマシンで切り、各製品の指定サイズにする。整列工程では、くり抜いた3層リーフ型や切り抜いた角形をプラスチックパッケージで個包装するためにロボットハンドで整列させる。
パッケージング工程では整列させた3層リーフ型や切り抜いた角形をプラスチックパッケージで専用の装置により個包装した後、マルチボクシングマシンなどで指定の個数を段ボール箱に入れ封函(ふうかん)機で封函する。
なお、山形事業所におけるダイノックフィルムの製造量は、受注状況にもよるが、1日に30種類以上で、1万m以上は加工している。キッチンスポンジの製造については1日に約6種類を生産している。
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