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3Mが工業用研磨材の新ブランドを立ち上げ、製品寿命が3倍の切断砥石を発売材料技術

3Mの日本法人であるスリーエムジャパンは、工業用研磨材の新ブランド「3M Cubitron(キュービトロン)3」の第1弾として、オフセット砥石、切断砥石、クロスベルトを2024年1月15日に発売した。同年3月21日にはファイバーディスクを販売開始する予定だ。

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 スリーエムジャパンは2024年1月15日、相模原事業所(神奈川県相模原市)で記者発表会を開き、工業用研磨材の新ブランド「3M Cubitron(キュービトロン)3」の第1弾として同日に発売したオフセット砥石、切断砥石、クロスベルト、同年3月21日に販売開始予定のファイバーディスクについて紹介した。【訂正あり】

結合剤を改良することで砥粒と結合剤の摩耗バランスを改善

 同社は、アルミナジルコニア(AZ)砥粒と比べ優れた堅牢性を持つセラミック砥粒を採用した工業用研磨材のブランド「3M Cubitron」を1981年に立ち上げた。2012年には鋭いエッジを維持しながら細かく破砕した三角形形状の精密成形砥粒を採用した工業用研磨材のブランド「3M Cubitron2」を発足した。3M Cubitron2の工業用研磨材は従来品より研磨性に優れ対象物の焼けも少なくできるという利点を持つ。

「3M Cubitron」の歴史(左)と「3M Cubitron3」の特徴[クリックで拡大] 出所:スリーエムジャパン

 Cubitron3のオフセット砥石と切断砥石では、三角形形状の精密成形砥粒を引き続き採用しながら、結合剤を改良することで砥粒と結合剤の摩耗バランスを改善し性能を高めた。

 Cubitron3のオフセット砥石では、切断作業兼用で研磨スピードに特化した厚み4.2mmのタイプと製品寿命に特化した厚み6、7mmのタイプをラインアップしている。各タイプは従来品よりも研磨時の振動を低減しているという。

Cubitron3のオフセット砥石や切断砥石の特徴
Cubitron3のオフセット砥石や切断砥石の特徴[クリックで拡大] 出所:スリーエムジャパン

 Cubitron3の切断砥石は、結合剤の改善など分子結合技術の改良により製品寿命がCubitron2の切断砥石と比べ製品寿命が約3倍となっていることに加え、下向きでの作業など力をかけて作業するシーンでも耐久性を発揮する。三角形形状の精密成型砥粒も採用しているため、上向きでの力がかけにくい姿勢での切断作業でもより安全に作業が行える。さらに、鉄材およびステンレス材で切断性能を発揮するため鉄材を切る際に専用の切断砥石を使用する必要がない。

【訂正】初出時に、Cubitron3の切断砥石は、結合剤の改善など分子結合技術の改良により製品寿命がCubitron2のオフセット砥石と比べ製品寿命が約3倍となっているとありましたが、正しくはCubitron2の切断砥石と比べてです。お詫びして訂正致します。

出力密度は従来技術と比べ2倍

 Cubitron3のファイバーディスクとクロスベルト「1184F」では、Cubitron2のファイバーディスクや研磨ベルトより先端が鋭利な三角形形状の精密成形砥粒を使用することで研磨スピードおよび研磨量の向上を実現している。スリーエム ジャパン 研磨材製品事業部 技術部の小野桂史郎氏は「三角形形状の精密成形砥粒は新たに再設計したものだ」と話す。

 Cubitron3のファイバーディスクでは、鉄材向けの「1182C」とステンレス材向けの「1187C」をラインアップしており、長さがある溶接ビードの除去や開先加工などの重研削に適している。スリーエムジャパン 研磨材製品事業部 マーケティング部の百井修一氏は「いずれも3M Cubitron2のファイバーディスクよりも研磨力と耐久性の点で向上するように設計されており、生産性が高く、全体的な研磨費の削減に貢献する」と語った。

Cubitron3のファイバーディスクと「1184F」の特徴[クリックで拡大] 出所:スリーエムジャパン

 1184Fは次世代の高性能研磨ベルトで、Cubitron2のクロスベルトと比べ研磨力を最大40%向上し、研磨スピードを最大86%アップしている。また、従来品よりも耐久性に優れるため、交換頻度を減らせ自動機やロボット研磨システムでもパフォーマンスを発揮する。

 会場では、デモンストレーションおよび体験会として、Cubitron3の切断砥石を用いたステンレス製角棒の切断、ロボットアームと1184Fを活用したステンレス製角棒の研磨、1182Cを利用した鉄のビード除去を実施した。

 一例を挙げると、Cubitron3の切断砥石のデモンストレーションでは、同砥石あるいは市場の従来品でステンレス製角棒を複数回にわたり切った。その結果、Cubitron3の切断砥石は従来品と比べ平均して切断速度が1.3倍速く寿命が4倍だった。

Cubitron3の切断砥石のデモンストレーション
Cubitron3の切断砥石のデモンストレーション[クリックで拡大]

Cubitron3の立ち上げ背景

 3Mの調査結果によれば、重研削や切断作業を行う業界では、熟練工の高齢化や継承者不足、技能レベルの安定化、人件費の高騰が深刻化している。さらに、これらの作業で伴う振動、粉じん、騒音などの改善が求められている。加えて、労働力や安全衛生環境への対策とトータルコストの削減を実現する研磨工程の自動化が必要となっている。

 そこで、製品寿命や研磨速度の向上と安定した仕上がりを実現する工業用研磨材のブランドとしてCubitron3を立ち上げた。

研磨材に対するニーズおよびトレンド
研磨材に対するニーズおよびトレンド[クリックで拡大] 出所:スリーエムジャパン

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