IoT時代到来と社会インフラ長寿化に向けた製品提案、3Mが開始:製造マネジメントニュース
スリーエムジャパンは、同社のカスタマーテクニカルセンターの機能強化を実施。「社会インフラの更新・長寿命化」と「IoT時代の到来」の2つのテーマに対応したゾーンを多目的デモ/展示エリアに設けて、新たなソリューション提案を2018年から開始する。
産業向け資材・消費財メーカー3Mの日本法人であるスリーエムジャパンは、同社の注力分野に合わせて神奈川県相模原市にあるカスタマーテクニカルセンター(CTC)の展示内容・ソリューション機能を強化する。
同社は、顧客の技術的な課題を解決するアイデアを、顧客と同社のエンジニアがともに考え、導いていくことを目指すソリューションセンターとして1997年にCTCを開設した。3000m2のスペース内を3つのエリアに分けて、接着・接合技術、フィルター技術、不織布技術、高精細表面技術、ナノ技術など3Mの技術基盤「テクノロジープラットフォーム」にある46の技術をベースに、5万5000種類に及ぶ製品と技術展示などを行っている。来場者にそれらのデモンストレーションやデータ分析を通じて、包括的な製品・技術の理解を深めてもらうとともに、顧客の技術的な課題解決や新製品開発につながるソリューションを提案している。
一方で、近年では顧客の課題の社会性の高さとともに、課題が大型化、複雑化する傾向があり、そこで従来の「技術的課題の解決」に、新たに「社会的課題の解決」というアプローチを加えることで、今回、カスタマーテクニカルセンターの機能を強化することを決定した。
同社 常務執行役員 チーフ・テクニカルオフィサーのリュウ・キョウ氏によると、スリーエムジャパンでは日本における事業テーマおよび重点分野として「社会インフラの更新・長寿命化、IoT時代の到来、環境配慮への対応、少子高齢化の加速、購買形態の多様化の5つのメガトレンドをテーマに取り組んでおり、R&Dもこのトレンドに合せて活動を進めている」という。これらのうち「社会インフラの更新・長寿命化」と「IoT時代の到来」の2つのテーマに対応したゾーンを多目的デモ/展示エリアに設けて、新たなソリューション提案を2018年から開始する。
社会インフラについては、国内の多くの道路や橋梁は、高度経済成長期に集中的に整備されたことから、今後老朽化が急速に進むことが懸念されている。維持・管理・更新という社会課題に加えて、さらなる長寿命化が期待されており、同社の製品のうち「3Mコンクリート保水養生テープ2227HP」や「3Mコンクリート給水養生用水搬送シート1117」は、コンクリートの高品質化と養生作業の簡素化を同時に実現する素材として、橋梁やトンネルなどコンクリート構造物の建設を担う土木業界を中心に需要がある。また、地震大国ともいえる日本では継続的な地震対策が欠かせない。半世紀の歴史をもつ「3Mスコッチティントウインドウフィルム」は、これまでの多くの大型地震でガラスの飛散を防いできたという。これらをはじめとした3Mのソリューションを提案するゾーンを、2018年中に設ける。「3Mは人々の安心した社会生活に貢献することを目指し、インフラが長寿命化する製品を開発してきた。今後、東京オリンピック・パラリンピックがもたらす新たなニーズにも応えていく」(リュウ氏)としている。
また、IoT関連分野では、電気自動車(EV)の普及が始まり、さらには自動運転の実現も視野に入りつつある。車載分野においては、電子デバイスの多様化や、高集積化に伴う発熱量の増加により、耐熱性・遮熱性・放熱性や耐久性など高い品質が求められてきた。3Mの放熱シートは、揮発性が低く車載カメラのレンズを曇らせないといった特徴がある。一方、自動運転の実現は自動車だけでは実現せず、例えば、昼夜や天候に左右されず車載カメラが標識や標示を的確に読み取れるような交通インフラの更新が期待されている。雨天時などに見えにくくなる路面標示も「3Mステイマーク全天候対応型貼付式路面標示材380AW」の優れた反射特性により視認性の向上が可能となる。これらをはじめとした3Mのソリューションを提案する展示を、2018年上旬より開始する。
米国本社の3Mは、日本でスタートしたカスタマーテクニカルセンターを各国へ展開しており、現在では世界40カ国・56カ所に展開している。来場者数も順調に増加しており、同カスタマーテクニカルセンターには開設以来、自動車やエレクトロニクスなど幅広い業界から1万7000社、10万人が訪れているという。
スリーエムジャパン 相模原事業長兼カスタマーテクニカルセンター長 永野靖彦氏は「ここは世界中にあるCTCの先頭を走ってきたが、これからは技術的な個別の技術の解決だけでなく、それに加えてスリーエムジャパンが注目する社会のメガトレンドにフォーカスした展示とソリューションを提供すること目指していく」と今後の取り組みを紹介した。
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