ソニーが産機向けCMOSセンサー商品化、グローバルシャッターで2455万画素394fps:組み込み開発ニュース
ソニーセミコンダクタソリューションズは、産業機器向けでグローバルシャッター機能を搭載した裏面照射型画素構造の積層型CMOSイメージセンサー「IMX925」を商品化する。サンプル出荷は2025年5月を予定している。
ソニーセミコンダクタソリューションズは2024年11月19日、産業機器向けでグローバルシャッター機能を搭載した裏面照射型画素構造の積層型CMOSイメージセンサー「IMX925」を商品化すると発表した。サンプル出荷は2025年5月を予定している。
工場の自動化が進み、産業機械においても、さまざまな対象物を高速かつ高画質で撮影できるマシンビジョンカメラへのニーズが高まっている。その中で、ソニーセミコンダクタソリューションズが展開するグローバルシャッター方式のCMOSイメージセンサーは、電子デバイスなどの精密部品の認識や検査などで採用が増えているという。
新製品は、マシンビジョンカメラで利用されているCマウントに対応するイメージサイズで、有効約2455万画素、394fpsを実現した。これにより、時間当たりの撮影回数を増やし、測定や検査工程の時間短縮や電力効率の向上に貢献する。さらに、3次元検査など複数の撮像データを活用したより高度な検査への応用も期待されるという。
具体的には、画素の読み出しやA-Dコンバーターにおけるセンサー駆動を効率化した新たな回路構造を採用し、データの出力までにかかる時間を短縮したことで高速撮像を可能としている。これにより、IMX925では従来比(「IMX530」比)約4倍となる394fpsの読み出しフレームレートを実現している。また、消費電力も従来比2倍以上に効率化した。
さらに、独自のグローバルシャッター技術「Pregius S」を搭載。裏面照射型画素と積層構造により、2.74μmの微細画素で高い感度と飽和容量を実現している。これにより、Cマウントサイズに対応する1.2型で有効約2445万画素と、小型のセンサーサイズと多画素を両立しながら、高速で移動する対象物をゆがみなく撮像できる。
また、最大12.5Gbps/laneまで対応する独自のエンベデッドクロック方式(クロックをデータに埋め込んで転送する方式)の高速インタフェース「SLVS-ECTM」を採用。高解像度の画像データを従来よりも少ないデータレーンの本数で伝送できるため、FPGAの選択肢が広がり、より多様なカメラの高精度化と高速化に貢献する。
「IMX925」に加え、センサーサイズやフレームレートの異なる3モデルも商品化する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 見えないものを見えるようにするソニーのイメージセンサー、用途提案を推進
ソニーグループは、「CEATEC 2024」に出展し、見えないものを見えるようにするSWIRイメージセンサーなどのセンシング技術を紹介した。 - Sマウント対応のグローバルシャッター方式で業界最高解像度の積層型CMOSセンサー
ソニーセミコンダクタソリューションズは、3.1分の1型レンズ対応のグローバルシャッター方式では業界最高解像度となる、有効約320万画素の積層型CMOSイメージセンサー「IMX900」を産業用に商品化する。 - ソニーのイメージセンサーは車載分野が新たな柱に、金額シェアで25%に到達
ソニーグループがイメージング&センシング・ソリューション(I&SS)分野の事業戦略を説明。2022年度のイメージセンサー金額シェアが目標の49%を超え51%となる中、車載イメージセンサーの金額シェアも2021年度の9%から大きく伸ばし25%に達した。 - ソニーがイメージセンサーで次に起こすブレイクスルー
さまざまな映像製品に革新をもたらし続けているソニーのCMOSイメージセンサー。「自分越え」の革新を続けるその裏側には何があるのか。革新製品の生まれた舞台裏を小寺信良氏が伝える。 - ソニーの裏面照射型CMOSセンサーが「3階建て」に、飽和信号量2倍でDR拡大
ソニーセミコンダクタソリューションズは「世界初」(同社)の2層トランジスタ画素積層型CMOSイメージセンサー技術を開発した。光を電気信号に変換するフォトダイオードと信号を制御するための画素トランジスタの層を別々の基板に形成し積層することで、従来の裏面照射型CMOSイメージセンサーと比べて約2倍の飽和信号量を確保した。 - 自動運転に必要なセンシング技術、ソニーの出した答えは“人の目超え”
ソニーは「第1回 名古屋オートモーティブワールド」(2018年9月5〜7日、ポートメッセなごや)において、車載用イメージセンサー技術を紹介。同技術についての詳細な説明を国内の展示会で一般公開したのは初めてだという。