産業機器向け積層型CMOSイメージセンサー6製品を発表、撮像面積は約1.7倍に:組み込み開発ニュース
ソニーは、産業機器向けの積層型CMOSイメージセンサー6製品を発表した。パッケージは小型化しつつ、撮像面積の拡大や読み出しの高速化が図られており、産業の生産性向上やスマート化に貢献する。
ソニーは2019年10月3日、産業機器向けの積層型CMOSイメージセンサー6製品を発表した。同年10月から順次、サンプル出荷を進める。サンプル価格は、例えば1.2型で高速タイプの「IMX530」が21万円(税別)となっている。
新製品は、ハイエンドカメラ向けの高速タイプ「IMX530」「IMX531」「IMX532」と5Gbpsに対応する標準品「IMX540」「IMX541」「IMX542」の6種類。イメージサイズと有効画素数は、IMX530、IMX540が1.2型(対角19.3mm)で約2455万画素、IMX531、IMX541が1.1型(対角17.5mm)約2035万画素、IMX532、IMX542が1.1型(対角16.8mm)約1619万画素となっている。
いずれも、裏面照射型画素構造のグローバルシャッター機能を搭載した積層型CMOSイメージセンサー技術「Pregius S(プレジウス エス)」を採用しており、動体ゆがみのない撮像が可能だ。
感度や飽和特性を維持したまま、画素サイズを2.74μm角に微細化したことで、撮像面積が約1.7倍となった。同時に、パッケージサイズを従来製品の約91%に小型化。これにより、装置や製造ラインにおいて、Cマウントサイズで1.2型有効約2445万画素まで対応する高解像度の小型マシンビジョンカメラのシステムが構築できる。
また、裏面照射型画素構造が持つ配線レイアウトの自由度の高さと、独自開発の高速インタフェース規格「SLVS-EC」により、読み出し速度が従来比2.4倍に高速化した。測定や検査工程の時間が短縮し、生産性向上につながる。
さらに、ROI(Region of Interest:対象領域)、セルフトリガーなどのデータ最適化機能や、HDR内部合成処理、短時間間隔露光など、さまざまな信号処理回路を積層して組み込んでいる。より小型化しながらも、多様なマシンビジョン用途に対応可能なので、工場や物流の自動化、省人化に貢献する。
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