太陽光から月明かりまで、広範囲で認識可能な車載CMOSセンサー:車載半導体
ソニーは、車載カメラ向けにHDR機能とLEDフリッカー抑制機能を搭載した1/1.55型有効540万画素CMOSイメージセンサー「IMX490」を発表した。飽和照度と感度特性の向上により、太陽光から月明かりまで広い照度条件下で被写体を認識できる。
ソニーは2018年12月20日、車載カメラ向けにHDR(ハイダイナミックレンジ)機能とLEDフリッカー抑制機能を搭載した1/1.55型有効540万画素CMOSイメージセンサー「IMX490」を発表した。サンプル価格は1万5000円(税別)で、2019年3月から出荷を開始する。
昼間のトンネルの出入り口など、道路環境には明暗差が大きい場所が多い。加えて、道路設備へのLEDの使用が増えていることから、車載カメラにはHDR撮影と同時にLEDのちらつきを抑える機能が求められる。
IMX490はこの要求を満たし、また有効画素数が540万(水平2880画素、垂直1860画素)のため、従来と同等の分解能を有しながら、より広い画角の撮影が可能となる。
ダイナミックレンジは、従来比約3倍の120dB。独自の画素構造と露光方法を改善したことにより、低ノイズでのHDR撮影が可能になった。太陽光下のような高照度の被写体を撮影しても、白飛びを抑制する。現行機種「IMX390」に引き続き、HDR技術で動く被写体を撮影する際に発生するノイズ「モーションアーティファクト」を防ぐ機能を搭載する。
さらに、電子信号から電圧信号への変換効率を改善したことで、感度特性が2280mV(標準値F5.6)と従来比で約15%向上した。月明かり相当の照度でも人や障害物の認識が可能になり、欧州の自動車アセスメントを手掛ける「Euro NCAP」が求める自動ブレーキの衝突回避要件にも対応する。
124ピン Plastic BGAパッケージで提供し、サイズは15.35×11.68mm。ユニットセルサイズは3.0×3.0μmだ。
同製品は、自動車向け機能安全規格「ISO 26262」に準拠した開発プロセスで設計されており、故障検知や通知、制御などの機能安全要求レベル「ASIL D」にも対応している。また、量産出荷までに自動車向け電子部品の信頼性試験基準「AEC-Q100 Grade2」を満たす予定だ。
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