「“CMOSセンサーはカメラ用”は古い」高速CMOSセンサーが実現する新知能システム(1/2 ページ)
「“CMOSセンサーはカメラ用”は古い」「DRAMの二の舞は避けねばならない」――高速CMOSセンサーを用いた画像処理の用途拡大を目指す「WINDSネットワーク」の副会長を務める石川教授は「日本の強み」を発揮することで世界をリードすると意気込む。
CMOSセンサーを用いた高速画像処理の用途拡大を目指す「WINDSネットワーク」(会長:ソニー執行役 副社長 鈴木智行氏)の創設記念総会が2016年2月24日に開催された(関連記事:秒間1000フレーム撮影できる高速CMOSセンサーが新市場切り開く、「WINDS」発足)。
WINDSの副会長を務める石川正俊氏(東京大学大学院情報理工学研究科 教授)は「“CMOSセンサーはカメラ用”は古い」「(優位性を持つ間に用途拡大を図れなかった)DRAMの轍を踏んではならない」と、日本企業が強みを持つ半導体である高速CMOSセンサーの用途拡大が急務だと訴える。
CMOSセンサーは主にデジタルカメラやスマートフォンなどの受光センサーとして発展してきたという歴史から、性能向上については感度(ISO)と解像度(ピクセル数)の2方面が重視され、現在では民生品ながらもISO感度が40万を超えるような「超高感度カメラ」やAPS-Hサイズで2億5000万画素という「超高画素CMOSセンサー」も姿を現している。
しかし、もう1つの方向性「撮影速度(fps)」については、一般的な30fpsを遙かに超える1000fpsを実現した高速CMOSセンサーも既に登場しているが、その高速性を生かすアプリケーション(用途)はさほど多くない。この用途拡大のためにさまざまな企業の“出会い”“情報交換の場”を提供するのが、WINDSネットワークだ。
撮影速度が上がるということは、具体的に何を指すのか。例として挙げられたのが高速移動する車を被写体としての撮影で、1000fpsの高速CMOSセンサー(秒間1000コマ)ならば時速100キロで走る車を撮っても、コマとコマの間の移動距離はわずか約3センチにすぎない。「高速カメラを車に積めば、時速100キロで走りながら路上にある0.1ミリの線を認識できる。これだけでも、“高速道路の保守点検に利用できそう”などアイデアは膨らむと思う」(石川氏)。
高速CMOSセンサーはデバイス技術としては既に一定の水準に達しており、石川氏はヒューマンインタフェースや3D入力、医療、セキュリティ、自動車、FA、ロボットなどさまざまな用途に応用可能だろうという見解を示す。ただ、実産業へ応用するためにはシステムとしての構築が必要となる。
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