「“CMOSセンサーはカメラ用”は古い」高速CMOSセンサーが実現する新知能システム(2/2 ページ)
「“CMOSセンサーはカメラ用”は古い」「DRAMの二の舞は避けねばならない」――高速CMOSセンサーを用いた画像処理の用途拡大を目指す「WINDSネットワーク」の副会長を務める石川教授は「日本の強み」を発揮することで世界をリードすると意気込む。
そのシステム構築は高速CMOSセンサーを開発製造するデバイスベンダーだけでは成り立たない。そのための組織体がWINDSネットワークだ。「高速CMOSセンサーの用途拡大や新産業創出には、高度な要素技術にシステムデザイン力を融合する必要がある。そのために、業界横断で広範な産業から参加しやすいよう緩やかな組織にした」(石川氏)。
しかし、高速CMOSセンサーの能力を100%発揮させるには周辺技術の充実も欠かせない。石川氏が今後、開発・評価されなければならない技術として例示したのが、「CMOSへの画像処理システム搭載」や「階層的並列分散システム」「ダイナミクス整合」「ビジョンチップネットワーク」などだ。
いずれも高速CMOSセンサーにて得た情報をいかに素早く制御側(フィジカル側)へ引き渡すかの方策であり、言い換えれば「高速な情報取得を、高速な制御に反映させるための手段」であり、それは「認知機能と行動機能を融合した新たな知能システムの誕生」を意味する。
特に知能システムとの連携(対象ダイナミクスの完全制御)は人間を超えるスピードでの動作を実現するために必要だが、その「知能」は昨今話題となっている人工知能やディープラーニング、ビッグデータ解析などとは違う方向で実装される必要があると石川氏は述べる。
石川氏はiRobotの創業者、ロドニー・ブルックス氏の論文「象はチェスをしない」(Elephants Don't Play Chess)に言及し、現在話題となっている多くの人工知能技術が大規模化を指向しすぎており、眼前の事態に素早く対応するためには“小さな人工知能”と高速CMOSセンサーを組みあわせたシステムが必要だとした。
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