CPUとGPU、スマートカメラ――画像処理にまつわる3つのトレンド:画像処理
重要性の高まる画像処理だが、どのようなアプローチでその処理に臨むかは思案のしどころだ。GigE Visionに強みを持つPleora Technologyの技術責任者が「画像処理ハードウェアの3つのトレンド」を紹介した。
高精細なデジタルサイネージや工場内のマシンビジョン、自動車のADASなど画像処理に対する需要は高まる一方だが、処理としては重くなる一方だ。そのため、画像(映像)についてはソフトウェアでの処理ではなく、ハードウェアにて処理するというのが一般的な傾向だが、どのようなアプローチでその処理に臨むかは思案のしどころである。
画像転送向けGigEインタフェースを専門とするカナダのPleora Technologyが2015年9月29日に開催したセミナーの中で「画像処理インタフェースのトレンド」と題した講演を行い、産業機器向け画像処理にまつわる3つのトレンドを紹介した。
登壇したPleora Technologyで技術責任者を務めるJohn Philips氏は1つ目のトレンドとして、CPUの処理速度鈍化とARMコアの性能向上を挙げる。シングルスレッド処理におけるCPUの処理能力はその種類を問わず、ここ10年ほど一定のパフォーマンス向上に留まっている。向上してることは確かであるが、向上率という観点では1990年代では年間52%であったものが、2000年代では21%までその数値を下げているのだという。
ARMコアについては旧来、インテル/AMD系に比べて低消費電力ながらパフォーマンスも低いとされてきたが、ここ数年では絶対的なピーク時性能は別として、低消費電力性という特徴はそのままにパフォーマンスを向上させており、「一部では性能が近づいている」(Philips氏)状況になっている。加えてFPGAを考慮するとARMコアの有用性はより高くなっているのが現状だとPhilips氏は説明する。
2つ目のトレンドして挙げられたのがGPUの用途拡大だ。登場時はPCの画面描写補助としての役割しか持たなかったGPUだが、3D描写の補助という役割を担い始めてから、ほとんど全てのコンピュータプラットフォームに搭載されるようになり、その処理能力もCPU以上の伸び率で高くなっている。
GPUはその成り立ちからOpenCVやMatrox MIL、Halconといった主要な画像解析パッケージでサポートされている他、汎用プロセッサではないことによるプログラミングの煩雑さもOpenCLとCUDAの組み合わせによって簡素化が進められている。「OpenCLはGPUの種類に依存せず、C++のようなプログラミング環境を提供してくれる」(Philips氏)
3つめに挙げられたのがスマートカメラだ。CPUやFPAなどを搭載しており映像入力だけではなく、ある程度(Pass/Fail程度)の処理をカメラ単体で行えるスマートカメラは、設置数が少ない場合には最適な選択となることが多い。しかしながら設置数が増える、もしくは処理条件の分岐が増える場合には、コンピュータリソース(サーバ)の導入が必要となるが、別の視点からすればシステムとしたの柔軟性が高くなる。ただ、スマートカメラについてはシステム導入という側面が強くなるなるため、“ベンダーによる囲い込み”に注意すべきだとPhilips氏は忠告する。
この3つのトレンドに加えて、Philip氏は「技術向上のペースは年々速まっており、市場投入の遅れは不利益につながりかねない」と市場投入の速度を重視すべきだと力説する。そのためには、FPGAを採用しての迅速な製品開発と市場投入が有効であり、最適化は必要に応じて後ほどから行う手法も検討すべきだとした。
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