物流DX市場は2030年に1兆1670億円、自動化やデジタル化がけん引:物流のスマート化(2/2 ページ)
富士経済は物流DXの実現を目指す次世代の物流システムやサービスに関する市場調査結果を発表した。
倉庫を支える各種システム
在庫や入出庫を管理するWMS(Warehouse Management System、倉庫管理システム)は、2030年に2023年比56.3%増の497億円に拡大すると見込む。人手不足に加えて、多頻度配送や小口化、オペレーションの複雑化が進んでいることに対応するため、倉庫内の自動化機器の導入が増えている。物流の2024年問題に対応するための中継拠点の開設やレガシーシステムの更新が市場拡大を後押しする。
また、WES(Warehouse Execution System、倉庫実行システム)やWCS(Warehouse Control System、倉庫制御システム)と連動した倉庫運営の効率化や、データ分析と見える化を行うトータルソリューションの提案も加速している。サプライチェーンの最適化を目的に、倉庫外のソフトウェアとの連携も期待されている。バース管理システムやTMS(Transport Management System、配車計画支援システム)などと併せて物流プラットフォームを構築する構想も出てきている。
倉庫実行システムは、2023年比10倍の140億円に市場規模が拡大する見通しだ。倉庫実行システムは、無人搬送車やロボットなど各種機器の接続の簡易化や、人/設備などリソースの制御や稼働状況の取得による見える化など各種プロセスの統合管理を行う。物流センターの新設が相次ぎ、自動化設備の導入が進んだことから市場が成長している。
これまでは、倉庫管理システムや倉庫制御システムを導入する際にITベンダーや機器メーカーがカスタム対応していた領域だが、近年は倉庫実行システムとしてパッケージ化され、参入企業も増えている。カスタマイズ要求が高く、案件の規模が大型化していることから今後も市場拡大が期待できるとしている。
トラックの予約や車両誘導、車両の入退管理を行うバース管理システムは、2023年比5.1倍の163億円に拡大すると見込む。物流の2024年問題を背景に、トラックドライバーの待機時間や入出荷作業の負担、荷待ちトラックによる渋滞などの課題を解決するシステムとして需要が高まっている。
トライアル導入を終えたユーザー企業が自社の物流倉庫やセンターに横展開を進めたことから2023年は市場が大きく拡大したという。2024年は駆け込み需要があったが、2025年以降は導入が落ち着き、伸びが緩やかになるとしている。今後は、トラックの予約や管理だけでなく外部システムとの連携によって倉庫内外の効率化を図るシステムの提案が増えていくと予想している。また、カスタマイズのニーズも高まりそうだ。
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