物流DX市場は2030年に1兆1670億円、自動化やデジタル化がけん引:物流のスマート化(1/2 ページ)
富士経済は物流DXの実現を目指す次世代の物流システムやサービスに関する市場調査結果を発表した。
富士経済は2024年11月14日、物流DX(デジタルトランスフォーメーション)の実現を目指す次世代の物流システムやサービスに関する市場調査結果を発表した。2030年に向けてAI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)を活用したシステムやロボティクスによって自動化やデジタル化が進む。
市場調査は、日本や日系企業の海外事業を対象とした。市場全体では2023年比62.9%増の1兆1670億円に拡大する見通しだ。このうち、ロボティクスやオートメーションは同3.0倍の1542億円、ソフトウェアやソリューションは同95.4%増の891億円に拡大すると見込む。
ロボット、無人搬送車
荷下ろしや荷積みを自動化するロボットシステムは、2030年に2023年比7.4倍となる317億円に伸長すると見込む。物流センター内の工程は人手による作業が多く、特に複雑なピッキング工程はプログラミングやティーチングが膨大なためロボットによる自動化が難しいとみられていた。しかし、AIによって瞬時の状況判断やマスターレスのピッキングが可能になったことから、大規模な物流センターを中心に自動化が進んでいるという。2023年はトラックコンテナからの荷下ろしや荷積みを自動化するデバンニングロボットが投入された。
2024年のロボットシステムの国内市場は、参入企業が増加するとともに、活用事例が実証実験から本格導入に移行していることにより拡大が予想される。ただ、導入コストが高いため、24時間稼働の宅配や通販、食品などの物流施設で導入が進むとみられる。また、日系企業が人件費の高い北米やオセアニアで展開を進めることによる拡大も予想されるという。
屋外無人搬送車は、2030年に2023年比16.7倍の100億円に拡大すると予測した。屋外で無人搬送車を走らせるには、地面の凹凸など耐環境性の確保や、周辺監視用センサーの雨天時の性能向上、敷地内を往来する人やトラックへの対応などが課題となっていた。LiDAR(Light Detection and Ranging、ライダー)によるSLAM(Simultaneous Localization and Mapping、自己位置推定)で性能向上が進み、市場拡大につながった。また、定期メンテナンスや地図編集などのアフターサービスと自動運転システム提供者専用保険をパッケージ化したサブスクリプションの導入も進んでおり、市場が成長する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.