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機械工具業界特有の五月雨受注には半自動化で対応、山善が取り組む物流効率化ITmedia Virtual EXPO 2024 夏 講演レポート(1/2 ページ)

「ITmedia Virtual EXPO 2024 夏」の「リテール&ロジスティクス サプライチェーンEXPO」において、山善 執行役員 営業本部エネルギー・ソリューション事業、建設監理、物流企画管掌の松田慎二氏が「山善が進める五月雨受注に対応した半自動化とラストワンマイル自社配送網拡充」と題して行った講演について紹介する。

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 ITmedia Virtual EXPO実行委員会が主催し、アイティメディアが展開するMONOist、EE Times Japan、EDN Japan、BUILT、スマートジャパン、TechFactoryの6メディアが企画したオンライン展示会「ITmedia Virtual EXPO 2024 夏」が2024年8月27日〜9月27日に開催された。本稿では、同イベントの「リテール&ロジスティクス サプライチェーンEXPO」において、山善 執行役員 営業本部エネルギー・ソリューション事業、建設監理、物流企画管掌の松田慎二氏が「山善が進める五月雨受注に対応した半自動化とラストワンマイル自社配送網拡充」と題して行った講演から抜粋して紹介する。

「ITmedia Virtual EXPO 2024 夏」で講演を行う山善の松田慎二氏
「ITmedia Virtual EXPO 2024 夏」で講演を行う山善の松田慎二氏[クリックで拡大]

生産財と消費財を扱うダブルウイング型の専門商社の山善

 山善では卸売業界特有ともいえる同日内に同じ得意先からバラバラと入ってくる注文に対して、ピッキングから名寄せし、最小単位の同梱包で、ミスのない出荷を実現する半自動化マテハン設備の導入と、大規模倉庫「ロジス」と分散型配送倉庫「デポ」を組み合わせた自社配送網の拡充を図り、業界横断の共同配送に取り組んでいる。

 「山善グループ物流2030年ビジョン」を掲げ、各物流拠点へのLMS(物流管理システム)/WMS(倉庫管理システム)や、バース予約システムと最新マテハン機器の導入を推進。併せて、自社便配送エリアの拡大を企図した小型配送拠点の整備や事業部横断活用、グリーン物流の推進によって、物流2024年問題に加え脱炭素にも対応することで、物流網の最適化に注力する方針を打ち出している。

 山善は生産財と消費財を扱うダブルウイング型の専門商社であり、グループ全体の年商は約5000億円に及ぶ。取扱商品はさまざまで、今回の講演ではこのうち切削工具およびロボット、モーターなどの産業機器などを対象とした物流の効率化に向けた取り組みを解説した。

 同社の物流の実務を担当しているのが子会社のヤマゼンロジスティクスだ。そのヤマゼンロジスティクスは、大型の倉庫である全国11カ所のロジスと、現場配送拠点である同104カ所のデポなどを活用している。

山善の物流効率化の新拠点「新ロジス大阪」
山善の物流効率化の新拠点「新ロジス大阪」[クリックで拡大] 出所:山善

 物流事業を取り巻く環境は難問が山積しており、例えば2024年4月からはトラックドライバーの残業時間が年間960時間に短縮されることによって起こる物流2024年問題が大きな課題になっている。国交省の試算では、2024年度の輸送力不足が14%であるのに対し、そのまま対応が進まない場合には2030年度に34%の輸送力不足が生じると予想されている。トラックの走行時に排出される二酸化炭素の削減要求も強まっている。その一方で、eコマースの拡大などにより、ラストワンマイル配送の効率化も求められる。

 また、政府が特定事業者に対して効率化を求める物流総合効率化法も施行された。この物流総合効率化法では、大型の集約型物流拠点の開設を後押しし、物流の効率化や集約された輸配送網の整備を推進している。また、ドライバー人口の減少を防ぐために荷主企業と物流事業者に対してそれぞれ、流通業務総合効率化法と貨物自動車運送事業法も可決された。今後、荷主企業も物流事業者も、自主行動計画を作成し掲示することが要望されている。

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