ツバキ・ナカシマがボールねじで品質検査不正、ミネベアミツミの買収調査の過程で:品質不正問題
ツバキ・ナカシマは、郡山工場で製造するボールねじに関して、品質検査項目の一部で、測定された数値の改ざんが行われていたと発表した。ツバキ・ナカシマでは、ミネベアミツミにボールねじおよびボールウェイの製造販売事業を売却することを発表していたが、今回の件を受けてミネベアミツミでは「慎重に精査して実行の可否や条件、実施日を決める」としている。
ツバキ・ナカシマは2024年11月11日、リニア事業の郡山工場で製造しているボールねじに関して、品質検査項目の一部で、測定された数値の改ざんが行われていたと発表した。ツバキ・ナカシマでは、同年2月9日にミネベアミツミにボールねじおよびボールウェイの製造販売事業を売却することを発表していたが、今回の件を受けてミネベアミツミでは「慎重に精査して実行の可否や条件、実施日を決める」としている。
今回の品質検査不正は、ミネベアミツミへの売却における調査を実施する中で、ツバキ・ナカシマの従業員からの指摘で2024年10月3日に発覚した。その後、対策本部を立ち上げ、詳細な調査を行い、現在は不適合製品の出荷先顧客に対し報告を行うとともに、対策本部を中心に対応を進めている。現在までのところ、不適切行為に関連した、製品の品質や性能への影響や事故の報告は確認されていないという。
さらに今回の品質不正問題についての調査は、外部弁護士から構成される特別調査委員会を2024年10月16日に設置し、より詳細の調査を行っているという。
ツバキ・ナカシマのボールねじ事業を買収予定だったミネベアミツミでは、調査完了後の2024年12月10日に手続きの完了を予定していた。現時点で買収を行う方針は変更していないが、特別調査委員会の報告や調査を待ち、詳細について確定した段階で変更の必要があった場合は、あらためて対応を決めるとしている。現時点ではミネベアミツミとツバキ・ナカシマの間に資本関係はなく、ミネベアミツミの連結業績に影響はないとしている。
【訂正】掲載当初「買収の可否を含めて保留」としていましたが、現時点でミネベアミツミは買収の方針は変更していないため、表現をあらためました。本文は訂正済みです(2024年11月15日19:30)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 2024年は品質不正撲滅に“待ったなし”、「不正ができない」体制をどう作るか
2023年は品質不正の問題が製造業を大きく揺るがした。ここ数年続いている品質不正についての問題はいまだに収まる兆しは見えず「日本品質」の陰りにつながっている。「透明性」に問題を抱える日本のモノづくり現場において同様の問題が今後も続くのは明らかで、早期に抜本的な取り組みが必要だ。 - パナソニック インダストリーの組織ぐるみの品質不正、再発防止策を発表
パナソニック インダストリーは、2024年1月に発覚した電子材料製品における品質不正において設置した外部調査委員会から調査報告書を受け取り、再発防止策について発表した。 - 舶用エンジンで検査不正続出、IHI、日立造船に続き、川崎重工でもデータを改ざん
川崎重工業は、商船向け舶用2ストロークエンジンの工場試運転における検査不正が判明したと発表した - トヨタで新たに7車種の不正が発覚、国交省が是正命令
国土交通省は型式指定申請で不正行為を行っていたトヨタ自動車に対する立ち入り検査の結果、新たに7車種の不正を認定するとともに、是正命令を発出した。 - 品質力は「落ちている」と「変わらない」が拮抗、低下要因は人材不足と技能不足
MONOistでは2023年7月12日に「品質」に関するオンラインセミナー「激変する市場環境 持続可能な攻めの品質管理の在り方とは?」を開催し、114人の来場者にアンケートを回答いただいた。その中で現場での実情が見える内容について抜粋しリアルな課題感などを紹介する。 - 品質問題、犯人探しよりも重要なこと
調査レポートから現場の実態がいろいろと見えてきます。