富士通と森永乳業、原材料の価格変動による事業影響を予測できる情報基盤開発:製造IT導入事例
富士通は、原材料の価格変動などが事業に与える影響をシミュレーションできる情報基盤を森永乳業と共同開発した。情報の集約やシミュレーション作業を効率化し、経営の意思決定の迅速化に寄与する。
富士通は2024年10月30日、森永乳業と共同開発した、原材料の価格変動などが与える影響をシミュレーションできる情報基盤を発表した。
森永乳業では、これまで国内の各工場で取り扱う数百以上の取引先情報や製品情報を人手で収集、集計してきたが、今回、社内や社外に散在している情報の集約、シミュレーション作業の属人化解消を目的に、情報基盤の共同開発を決定した。
同基盤は、計画立案や分析に特化した富士通のサービス「Fujitsu Manufacturing Supply Chain Planning」を活用している。同サービスは、計画の立案や分析によって、現場やサプライチェーン、経営側の意思決定をスピードアップし、効率的なサプライチェーンの構築に寄与する。
同基盤の活用により、森永乳業では人手による作業を効率化し、原材料の価格変動が事業や経営に及ぼす影響を速やかに可視化できるようになった。同年8月5日から約2カ月間、試験運用をしたところ、作業効率の改善や業務標準化の効果を確認できた。
気候変動や世界情勢などさまざまな原因による原材料価格の変動は、食品製造など製造業界に大きな影響を及ぼしている。そのような変化に対応するため、森永乳業は、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進し、経営基盤の強化に努めてきた。
富士通は今後、森永乳業のDX推進を支援しつつ、経営の意思決定の高度化を求める顧客にFujitsu Manufacturing Supply Chain Planningを提供していく。また、製造業向けに提供している予算、販売、需給計画の管理テンプレートを他分野にも展開していく。
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