AGCが当期純利益で1064億円の損失、ロシア事業譲渡やバイオ医薬品事業が影響:製造マネジメントニュース(3/3 ページ)
AGCは、オンラインで会見を開催し、2024年度(2024年12月期)第1〜3四半期(1〜9月)の決算を発表。2024年度第1〜3四半期の累計の売上高は為替による増収効果もあり前年同期比504億円増の1兆5342億円となった。営業利益は、原燃材料価格が下落したものの、オートモーティブやライフサイエンスなどでのコストの悪化により同15億円減の940億円だった。
2024年12月期通期業績の見通し
2024年12月期通期業績の売上高は前年比3.9%増の2兆1000億円で、営業利益は同16.4%増の1500億円を見込み、2024年第2四半期決算で発表した予測から変更なしだ。
セグメント別の業績見通しでも売上高は2024年第2四半期決算発表時の予測から変更はない。営業利益は、建築ガラスセグメントとオートモーティブセグメントは下方修正し、電子セグメントとライフサイエンスセグメントは上方修正して、化学品セグメントは2024年第2四半期決算発表時の予測から変更なしだ。
具体的には、建築ガラスセグメントの売上高は同163億円減の4600億円で、営業利益は同98億円減の230億円。建築ガラスは、欧州市場では景気低迷の影響が継続し、アジア市場では建築需要は伸び悩むものの、高断熱/遮熱ガラスの需要が下支えし、出荷数は横ばいとなる見込みだ。
オートモーティブセグメントの売上高は同103億円増の5100億円で、営業利益は同12億円増の230億円。自動車用ガラスは、国内での出荷数は全体として前四半期並みとなる見通しだ。国内の自動車生産台数はやや増加するものの、一部の地域では季節性により減少する見込み。北米市場では価格政策など、収益改善に向けた取り組みに着手する。
電子セグメントの売上高は同368億円増の3500億円で、営業利益は同266億円増の450億円。同セグメントのディスプレイ事業では、液晶用ガラス基板の出荷数は前四半期と比べやや減少する見込み。ディスプレイ用特殊ガラスはスマートフォン市場が需要期となるため、出荷数が堅調に推移する見通しだ。
同セグメントの電子部材事業ではEUV露光用フォトマスクブランクスなどの半導体関連製品の出荷数が増加する見込み。オプトエレクトロニクス用部材は調整期となり前四半期と比べ、出荷数が減る見通しだ。
化学品セグメントの売上高は同459億円増の6200億円で、営業利益は同48億円減の600億円。同セグメントのエッセンシャルケミカルズは東南アジア市場での需要が堅調に推移するが、中国経済低迷により市況は低水準で推移する見込み。パフォーマンスケミカルズは半導体や輸送機器向けのフッ素関連製品の需要増により、出荷数が増加する見通しだ。
ライフサイエンスセグメントの売上高は同32億円増の1300億円で、営業利益は同116億円減の240億円の損失を見込んでいる。同セグメントの合成医農薬CDMOは農薬市場の在庫調整の影響が継続するものの、合成医薬の出荷数は増加する見通しだ。さらに、受託案件精算に伴う一時収入が減少するものの、コペンハーゲン拠点で増設した設備の稼働が売上高のアップに貢献するとみている。
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