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AGCが過去最高の売上高を記録するも営業利益は低迷、不透明なロシア事業の譲渡を検討製造マネジメントニュース(1/3 ページ)

AGCが2022年12月期通期業績を発表。売上高は前期比3385億円増の2兆359億円と過去最高記録した一方で、営業利益は前期比222億円減の1839億円となった。

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 AGCは2023年2月8日、東京都内で会見を開催し、2022年12月期の通期業績で、営業利益が、ディスプレイの大幅な需要減少と原燃材料高騰の影響により、前期比で222億円減の1839億円となったことを発表した。併せて、ディスプレイ、プリント基板材料、ロシア向けの建築用ガラス/自動車用ガラス、欧州自動車用ガラスの事業における不振に伴い、1284億円の減損損失を計上したことも公表している。


2022年12月期の通期業績と2023年12月期の通期見通し[クリックで拡大] 出所:AGC

2022年12月期の通期業績の詳細[クリックで拡大] 出所:AGC

国内で発生した巣ごもり需要の反動減でディスプレイ事業が低迷

 減損損失の内訳は以下の通り。ディスプレイ事業は、国内で発生した巣ごもり需要の反動減でテレビおよびPCの販売が伸び悩んだ他、円安と原燃材料の高騰によりコストが増え737億円の減損となった。プリント基板材料事業は、米中貿易摩擦と中国における新型コロナウイルス感染症拡大の影響で需要が減り322億円の減損を記録した。ロシア向けの建築用ガラス/自動車用ガラス事業では、ロシアによるウクライナ侵攻が長期化していることに伴う経済環境の悪化により、建築用ガラスが99億円で、自動車用ガラスが37億円の減損となった。欧州自動車用ガラスの事業では、ロシアによるウクライナ侵攻を契機とした自動車需要の低迷により67億円の減損に至った。


2022年12月期のその他費用内訳[クリックで拡大] 出所:AGC

AGC 副社長 執行役員 CFOの宮地伸二氏

 AGC 副社長 執行役員 CFOの宮地伸二氏は、「今回の減損損失はキャッシュアウトを伴わない他、対象の事業が将来に生む価値を考え減損損失としたため、ネガティブな発表ではない。各事業はこれまでしっかりと利益を上げていた。特に、ディスプレイ事業は、過去に大きなキャッシュを生んでおり良好な事業だった」と話す。

 一方、損失の改善に向け、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化を踏まえて、ロシア向けの建築用ガラス/自動車用ガラス事業を含むロシア事業の譲渡を検討開始した。「当社では、ロシア情勢が不透明な中、2022年3月からガラス製造窯の定期修繕を含めた投資を停止し、これまで事態の推移を注視してきたが、状況の改善が見込めず、ロシア事業について譲渡の検討を開始した。当社のロシア事業は、投資が主体で、現地の住民や工場で運営されているため、オーナーが決定次第、円滑に譲渡できる見通しだ」(宮地氏)。


ロシア事業の概要[クリックで拡大] 出所:AGC

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