メルカリやヤフオクユーザー待望の「中身がぬれない紙」開発、宅配袋に加工可能:材料技術
リンテックは、「第15回 高機能素材Week」で包装用の紙素材として、自然な色合いの撥水紙「未晒(みざらし)撥水ラップCoC」や特殊機能紙「SUKEKAKE(すけかけ)ラップCoC」、フッ素樹脂不使用の耐油紙「非フッ素耐油紙」、軟包材の紙化が可能な「ヒートシール紙(高透明タイプ)」、バイオマス素材由来のヒートシール樹脂を用いた「バイオマスヒートシール紙」を披露した。
リンテックは、「第15回 高機能素材Week」(2024年10月29〜31日、幕張メッセ)内の「第4回 サステナブル マテリアル展」に出展し、包装用の紙素材として、自然な色合いの撥水紙「未晒(みざらし)撥水ラップCoC」や特殊機能紙「SUKEKAKE(すけかけ)ラップCoC」、フッ素樹脂不使用の耐油紙「非フッ素耐油紙」、軟包材の紙化が可能な「ヒートシール紙(高透明タイプ)」、バイオマス素材由来のヒートシール樹脂を用いた「バイオマスヒートシール紙」を披露した。
送り状のラベルを貼っても剥がれにくい
同年10月28日に発売した未晒撥水ラップCoCは、汚れが目立ちにくいクラフト紙に撥水紙を付与した特殊機能紙だ。雨水などにぬれても浸透しにくい撥水性を備えている他、送り状のラベルを貼っても剥がれにくい。製袋適性も有すため、包材製造用のコンバーティングマシンで加工することで宅配袋や封筒などに仕上げられる。封筒メーカーなどが製造ラインで一般的に使用するのりで製袋加工も施せる。さらに、オフセット印刷やフレキソ印刷、レーザープリントの出力にも対応する。
リンテックの説明員は、「近年、フリマアプリのメリカリやYahoo!オークションなどを介して、個人間の商品取引が増えている。こういった取引では商品の発送で紙の封筒や宅配袋が利用されるケースも多い。しかし、紙の封筒や宅配袋は配達時に雨水などでぬれて中身が浸水する可能性がある。これはクレームにつながり、個人間のトラブルとなり得る。そういった問題の発生を防げるのが未晒撥水ラップCoCだ」と話す。
新製品のSUKEKAKEラップCoCは透け感を持つ特殊機能紙で、鉛筆やボールペンなどでの筆記適性に加えて、封筒や袋への加工適性も有す。内容物を保護する厚みやコシを持たせつつ、中身が確かめられる透明性も確保している。
新製品の非フッ素耐油紙はフッ素樹脂を使用せずに耐油性を実現した特殊機能紙だ。ポリラミネート加工をしなくても食品の包装が可能なことに加え、紙ならではの通気性も持つため、食品を包んだ後も水蒸気を外部に排出し、できたてのおいしさを長く保てる。食品衛生試験もクリアし、印刷/加工の適正にも優れているため、さまざまな食品包材に適している。カラーは晒(白)、白茶、未晒(茶)の3種類だ。用途としては、各種食品包材、敷き紙、脱酸素剤/乾燥剤の包材、カップなどを想定している。
リンテックの説明員は、「昨今、有機フッ素化合物(PFAS)の健康被害に関するニュースが多く報じられている。これに関連して一般消費者の中にはフッ素樹脂を不安視している人も存在する。そういった一般消費者も安心して使える包材を目指して非フッ素耐油紙を開発した」とコメントした。
開発品のヒートシール紙(高透明タイプ)は、不透明度20%という高透明性を実現し、内容物を見せたい製品に採用していたプラスチック包材を紙化する際に適している。ヒートシール層にバイオマス素材由来のヒートシール樹脂を使用し、構成体にも再生可能材料を採用してため環境に優しい。縦と横のピロー包装など各種製袋加工に対応する。用途としては、文具用パッケージ、ダイレクトメール(DM)用の封筒、食品二次包装などを想定している。「既に化粧品や文房具の包材として引き合いを得ている」(リンテックの説明員)。
開発品のバイオマスヒートシール紙は、バイオマス素材由来のヒートシール樹脂を使用した特殊機能紙だ。原紙層は、用途に合わせて耐油紙や耐水紙などリンテックの特殊機能紙から選べる。印刷適性の付与など原紙層のカスタイマイズも可能だ。
用途としては、冷凍/冷蔵食品の外装といった食品2次包装や、衣類や通販の紙パッケージなどを想定している。
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