リンテック、EUV露光機用ペリクルの量産体制確立に見通し立つ:材料技術
リンテックグループは以前から研究/開発を進めているEUV露光機用ペリクルの量産化の見通しが立ったことを明らかにした。
リンテックグループは2024年9月26日、先端半導体の微細回路形成に欠かせない極端紫外線(EUV)露光機用ペリクル(防塵材料)の第一次量産体制の構築を図るべく、2023年10月から産業技術総合研究所(産総研)の先端半導体研究センターと共同研究を推進していると発表した。
併せて、これまで行ってきた研究成果を基にEUV露光機用ペリクルの量産化の見通しが立ったことを公表。今後は2025年度内の量産体制確立に向け、さらに取り組みを強化していく。
2023年に高耐久CNT製ペリクルの要素技術を確立
先端半導体の微細回路形成には、EUV露光機が用いられているが、露光機の性能向上に伴い、より高耐久のペリクルの開発が求められている。ペリクルとは、フォトマスク(回路パターンの原版)への異物の付着を防ぐ防塵膜の役割を果たす部材だ。EUVに対する透過性や耐熱性、耐久性が要求され、半導体の生産性向上に貢献することができる。
先端半導体において日本の製造装置/材料の重要性が増している中、リンテックグループでは、カーボンナノチューブ(CNT、筒状炭素分子)シートの開発を手掛けている米国テキサス州の研究開発拠点で、高耐久のCNT製ペリクルの開発に着手し、2023年に要素技術を確立した。
また、同年10月には産総研と量産化技術の共同研究を開始し、2024年7月にはリンテックグループが独自開発したCNT製ペリクルの量産機の立ち上げに成功した。今回、これらの研究成果を基に量産化の見通しが立った。
ペリクル特性の評価装置の開発も実施
現在リンテックグループでは、産総研と次世代半導体デバイス製造向けナノリソグラフィ要素技術の共同研究を行う他、CNT製ペリクルの量産体制確立に向けて、米国テキサス州の研究開発拠点や国内の研究所(埼玉県さいたま市)でペリクルの要素技術の開発を推進している。
また、半導体関連装置などの設計/開発拠点(埼玉県北足立郡)で独自設計の量産機を開発。さらに、EUV透過率測定装置などのペリクル特性の評価装置の開発も行っている。これらの研究開発の成果を結集し、2025年度内の量産体制の確立および早期の社会実装へとつなげていく考えだ。
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