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Turingが完全自動運転AIの開発で専用の計算基盤、NTTグループが協力自動運転技術

Turingは完全自動運転の実現に向けて専用計算基盤「Gaggle Cluster」を構築し、運用を開始した。

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 Turing(チューリング)は2024年10月30日、完全自動運転の実現に向けて専用計算基盤「Gaggle Cluster」を構築し、同年9月から運用を開始したと発表した。構築に当たって、NTTPCコミュニケーションズによる技術支援と、NTTドコモ・ベンチャーズの出資を受けた(出資額は非公表)。

 Gaggle Clusterはチューリング専用で、2023年11月から構築してきた。クラスタ全体を単一の計算機として大規模な深層学習タスクに最適化した。NVIDIAの「H100 GPU」を96基使用するとともに、「InfiniBand/NDR400」を用いたネットワークにより大規模なAI(人工知能)学習で大量のGPUを同時に使用する際に必要なサーバ間通信速度を確保した。また、オールフラッシュ分散ストレージの採用により、分散学習における性能を最大限に引き出すという。


Gaggle Clusterの概要[クリックで拡大] 出所:チューリング

 NTTPCコミュニケーションズは、オンプレミスではなくGPUプライベートクラウドを通じてチューリングにGPU計算基盤を提供し、Gaggle Clusterの構築を支援した。GPUプライベートクラウドには、計算基盤でGPUノード間を高速通信するためのインターコネクト技術や、ストレージ設計のノウハウ、データセンターや機器の監視/運用に関するクラウド事業者としての知見などが含まれている。

GPUプライベートクラウドの概要[クリックで拡大] 出所:NTTPCコミュニケーションズ

実世界を理解する生成AIも開発中

 チューリングは構築したGaggle Clusterを使用して独自の自動運転AI「TD-1」を開発し、2024年10月から走行試験を開始したという。周辺監視用センサーにはカメラのみを使用し、周辺環境の認識、車両や歩行者の検出、経路生成までを単一の大きなニュートラルネットワークで処理し、直接クルマを制御することを考えている。


開発中の自動運転AI「TD-1」[クリックで拡大] 出所:チューリング

 Gaggle Clusterは自動運転AIだけでなく生成AIの開発にも活用し、複数のモデルの開発を推進する。生成AIによる世界モデルやVLA(Vision Language Action)モデルと自動運転AIを組み合わせ、物理法則や物体間の相互作用など実世界の複雑な状況を理解して高度な判断が可能な自動運転システムの開発を目指す。


自動運転AIだけでなく生成AIも開発を進めている[クリックで拡大] 出所:チューリング

 チューリング 代表取締役の山本一成氏は「完全自動運転では他の人間がどのように動くかをシステムが理解する必要があり、センサー以外に強力なAIが必要だ。バスなど他のクルマや歩行者がどのように動くか、AIが説明できなければならない。また、今進んでいる場所について、何があるかを予想できるAIが必要だ。AIが実世界を理解できるようにしていきたい」と語った。

 また、山本氏は「純粋なルールベースでは自動運転の実現は不可能だ」と述べた。「人間は全ての状況を予見できるわけではないが、状況に対して理解して正しく反応できるので運転できている。AIが説明可能であるかが論点にされることもあるが、複雑で大規模なシステムがそもそも“説明可能”だとは思えない。説明可能であるかという以上に、安全であることを重視している。説明可能ではない複雑な工業製品が社会で動いている中に、AIという新しいツールが加わるだけだと考えている」(山本氏)

 チューリングは2021年8月に創業。累計で60億円を調達した。あらゆる条件下でシステムが運転し、人間による運転操作が一切不要なレベル5の自動運転システムの実現を目指している。2025年末までに、東京都内の複雑な環境で人間による介入なしで30分以上、自動運転で走る計画だ。

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