研究開発の付帯業務を削減し主業務に集中できる新型HPLCシステムを発売:研究開発の最前線(2/2 ページ)
アジレント・テクノロジーは、高速液体クロマトグラフ法(HPLC)システム「1260 Infinity III LC」「1260 Infinity III Prime LC」「1290 Infinity III LC」を2024年11月1日に発売する。
移動相の枯渇を防ぐ「レベルセンシング」
レベルセンシングは、「InfinityLab セーフティキャップ」「InfinityLab 移動相ボトル」「InfinityLab レベルセンシング」で構成される。「InfinityLab 移動相ボトルは移動相の容器で、InfinityLab セーフティキャップは移動相として利用した有害な溶媒の揮発によるラボへの侵入を防げる。InfinityLab レベルセンシングはInfinityLab 移動相ボトルに入った移動相の量をセンシングする」(郡氏)。
同機能は、InfinityLab 移動相ボトルに入った移動相の量をセンシングし可視化するため、移動相の量をモニタリングでき、移動相ゼロによる無駄な分析を防げる。この機能は同社のアプリケーション「OpenLab クロマトデータシステム(CDS)」と連携することで、HPLCシステムでシーケンスをかける前に移動相の消費量を事前に予測でき、移動相ボトルの移動相の量がゼロになる前にCDS上でアラートも受け取れる。
サンプル ID リーダーは、HPLCシステムのバイアル設置スペースに配置されたサンプル封入済みの専用バイアルの底部にあるQRコードを読み込み、そのサンプルのIDと設置スペース内の位置をひも付けどこにあるかを可視化する。サンプル調整の全体を通じて、サンプルの取り扱いとデータもリンクするため、サンプルの混同を防げ、間違いも特定できる。
また、「1260 Infinity III Bio-insert LC」「1260 Infinity III Prime Bio LC」「1290 Infinity III Bio LC」と、いずれの製品もバイオコンパチブルタイプをラインアップしている。バイオコンパチブルタイプの流路は、生体分子を流しても吸着しにくいため、抗体やペプチド、オリゴ核酸の分析に適す。耐食性と強度にも優れるため、移動相に高濃度塩溶液や高いあるいは低いpHの溶液を使用しても流路が腐食しにくく、交換によるダウンタイムを減らせる。
今回のHPLCシステムを発売するに当たって、従来品の「1260 Infinity II LC」と「1290 Infinity II LC」は終売となる。なお、1260 Infinity II LCと1290 Infinity II LCのユーザーに対してはInfinityLab Assistとレベルセンシングの機能をオプションとして販売し、アップグレードできるようにする。
郡氏は、「これらの機能により今回の製品は、HPLC立ち上げ操作やメンテナンス、トラブルシューティング、手作業によるサンプルの前処理といった付帯業務でかかる時間を減らせる。そのため、高付加価値な素材の研究開発や新薬創出のための分離精製、HPLC分析法開発などの主業務に集中できるようになる」と強調した。
新製品のターゲットとしては、製薬会社、化学メーカー、材料メーカー、食品メーカーなどを想定している。
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