営業利益の改善にはデジタル技術活用が必須 製造業は先を見据えた人材育成を:ものづくり白書2024を読み解く(3)(1/5 ページ)
日本のモノづくりの現状を示す「2024年版ものづくり白書」が2024年5月に公開された。本連載では3回にわたって「2024年版ものづくり白書」の内容を紹介していく。
2024年5月に公開された「令和5年度ものづくり基盤技術の振興施策」(以下、2024年版ものづくり白書)を読み解く本連載。第1回ではCXによる経営/組織の仕組み化と、DX(デジタルトランスフォーメーション)による製造機能の全体最適化と事業機会の拡大の必要性について掘り下げた。続く第2回では、国内製造業の動向と環境変化、事業所設立や移転、投資状況について確認した。
第3回となる本稿では、製造業の人材育成や雇用状況、加えてDXの進展に大きく関わるデジタル人材の育成などを見ていきたい。
製造業の就業者数はわずかに上昇するも、高まる人手不足感
製造業の就業者数をみると、2022年が1044万人、2023年が1055万人と増加傾向にある。全産業に占める製造業の就業者の割合は低下傾向で推移しているが、直近の2022年と2023年でわずかに上昇した(図1)。
若年就業者数や高齢就業者数は、近年ほぼ横ばいで推移している(図2、図3)。特に製造業における高齢就業者数の割合は、2002年以降、全産業と同様に増加傾向で推移してきたが、全産業よりも横ばいとなるのが早い。2020年以降は緩やかに低下し、非製造業の高齢就業者の割合と差が広がっている。
製造業の従業員数における過不足状況(従業員数過不足DI)をみると、2017年第4四半期から2019年第1四半期までマイナス20.0台で推移していたが、2020年に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大による影響を受け過剰に転じた。しかし、それ以降は再び不足に転じ、2023年にはCOVID-19の感染が拡大する2019年以前よりも人手不足感が強くなっている(図4)。
一般労働者の賃金(所定内給与額)の推移を全産業と製造業で比較してみると、2023年の全産業における賃金が31万8300円であるのに対し、製造業の賃金は30万6000円となっている(図5)。製造業の賃金は全産業の賃金を一貫して下回っており、2006年時点で約2000円だった両者の賃金の差額は、2023年には1万円を超えている。
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