業況はコロナ禍以前の水準に回復 今後は無形固定資産への投資が重要に:ものづくり白書を読み解く(2)(1/6 ページ)
日本のモノづくりの現状を示す「2024年版ものづくり白書」が2024年5月に公開された。本連載では3回にわたって「2024年版ものづくり白書」の内容を紹介していく。
2024年5月に公開された「令和5年度ものづくり基盤技術の振興施策」(以下、2024年版ものづくり白書)を読み解く本連載。第1回では、2024年版ものづくり白書の「第1部 ものづくり基盤技術の現状と課題」の「第5章 製造業の『稼ぐ力』の向上」をまとめる形で、CXによる経営/組織の仕組み化と、DXによる製造機能の全体最適と事業機会の拡大の必要性について確認した。
第2回となる本稿では、2024年版ものづくり白書の「第1部 ものづくり基盤技術の現状と課題」の「第1章 業況」「第3章 価値創造に資する企業行動」から、国内製造業の動向と環境変化、事業所設立や移転、投資状況について見ていきたい。
製造業の営業利益はコロナ禍以前よりも高い水準に
日本の実質GDPの推移を見ると、2020年4〜6月期はリーマンショック後の2009年1〜3月期を超える落ち込みとなったが、その後はプラスに反転していることが分かる。2023年10〜12月期は、「設備投資」や「純輸出」の増加により、プラス0.1%となっている(図1)。GDPの構成比を業種別に見ると、2022年時点で製造業は日本のGDPの約2割を占めており、依然として日本の経済を支える中心的な産業となっていることがうかがえる(図2)。
企業の全般的な業況について、日本銀行「全国企業短期経済観測調査」の業況判断DIの推移をみると、「大企業製造業」「中小企業製造業」ともに2024年3月調査では悪化へ転じているものの、全体的に大企業、中小企業ともに改善している(図3)。営業利益については、2023年は前年と比べて減少してはいるが、2020年の新型コロナウイルス感染症の感染拡大以前よりも高い水準にある(図4)。
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