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非弾性中性子散乱実験により、交替磁性体のマグノンスペクトルを観測研究開発の最前線

東京大学は、第3の磁性体として注目される、交替磁性体のマグノンのスペクトル観測に成功した。スピン流を運ぶカイラルマグノンと考えられ、磁化がゼロの状態での超高速スピン流の生成が期待される。

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 東京大学は2024年10月9日、第3の磁性体として注目される、交替磁性体のマグノンのスペクトル観測に成功したと発表した。カイラルマグノンの存在を実証し、スピン流生成をもたらすことが分かった。

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交替磁性体のマグノンスペクトル(左)とカイラルマグノンのイメージ(右)[クリックで拡大] 出所:東京大学

 交替磁性体は、強磁性体と反強磁性体の性質を兼ね備えた新しい概念の磁性体だ。スピンを活用する次世代の超高速情報通信デバイスへの応用が検討されている。

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(a)強磁性体(第1の磁性体)、(b)反強磁性体(第2の磁性体)、(c)交替磁性体(第3の磁性体)のスピン構造(上)とマグノンのエネルギーと運動量の関係「分散関係」(下)の概略図。Mは磁化、赤と青の矢印付き回転円は反時計回り(右旋性)カイラリティ、時計回り(左旋性)カイラリティを表す[クリックで拡大] 出所:東京大学

 研究では、磁性が観測しやすいマンガン(Mn)イオンを含む交替磁性候補物質マンガンテルライド(MnTe)の大型単結晶を合成。HRC高分解能チョッパー分光器により、非弾性中性子散乱実験を実施した。

 その結果、30meV以上の高エネルギーで、約2meVのマグノン分裂を観測できた。分裂したマグノン分散は運動量軸に沿って交替に伝播し、時計回りと反時計回りの2つのカイラリティが交替的に変化した。観測したマグノンはスピン流を運ぶカイラルマグノンと考えられ、磁化がゼロの状態での超高速スピン流の生成が期待できる。

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(a)(c)MnTeの中性子スペクトル。それぞれ異なる運動量領域を示すが、(a)のh=1.33と(c)のl=−1.33は同じ運動量で、約2meVのマグノン分裂を観測した。(b)(d)計算されたマグノンのカイラリティ。赤色と青色は各々異なるカイラリティを持つマグノンを示す。灰色の実線と破線は計算されたマグノン分散を示す[クリックで拡大] 出所:東京大学

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