ローカル5G網と公衆モバイル網を自動切替、NTTコムがアプレット領域分割で実現:製造業IoT(2/2 ページ)
NTTコミュニケーションズがローカル5G網と公衆モバイル網への接続を自動で切り替えるSIMを開発。2022年2月に同社が発表した「アプレット領域分割技術」を活用しており、ローカル5G網と公衆モバイル網への接続を人手による操作を介することなくSIMのみで自動で切り替えられる。
エリア判定機能により免許交付外のエリアで電波送出せずに済む
今回開発したSIMアプレットで法規制の順守で重要な役割を果たしているのがエリア判定機能である。単純にローカル5G網と公衆モバイル網を切り替えるだけであれば、ローカル5Gに対応する周波数の通信の有無によって切り替えればよい。しかし法規制では、その端末が免許交付されていないローカル5Gのカバーエリアで電波送出することを禁じているため、エリア判定機能と組み合わせたローカル5G網と公衆モバイル網の切り替えが必要になるというわけだ。
SIMアプレットの技術実証は、NTT中央研修センタ内の「LOCAL 5G OPEN LAB」の屋外環境を利用して行った。敷地内の中でエリア内外を行き来して、ローカル5G網と公衆モバイル網の切り替わりを確認している。ローカル5G用プロファイルにNTT東日本のギガらく5G、公衆モバイル網用プロファイルはNTTコミュニケーションズの「IoT Connect Mobile Type S」を用いており、SIMの製造もNTTコミュニケーションズが行っている。ローカル5G対応端末としては、ノキアのIoTゲートウェイルーターを用いた。
技術実証では、免許交付エリアでのローカル5G網への接続、免許交付エリア外へ移動した際の公衆モバイル網への切り替え、免許交付外エリアのローカル5G網で電波送出しないことの確認、移動先の免許交付エリアにおける公衆モバイル網からローカル5G網への切り替えなどを確認した。
今回開発したSIMアプレットのユースケースは3つある。1つ目は、鉄道や自動車、バスなど、免許交付されているローカル5G網と公衆モバイル網の間を移動する際に、人手による操作を介することなくアクセスネットワークを自動で切り替えて通信を継続させる場合。2つ目は、ローカル5Gシステム障害のバックアップ回線として公衆モバイル網に自動で切り替えることで、冗長化による高可用性を維持させる場合だ。そして3つ目は、広大な土地や物影などでローカル5Gの不感エリアが存在しており、そこで公衆モバイル網に切り替えて通信持続性を継続させたい場合である。
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