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ローカル5G網と公衆モバイル網を自動切替、NTTコムがアプレット領域分割で実現製造業IoT(1/2 ページ)

NTTコミュニケーションズがローカル5G網と公衆モバイル網への接続を自動で切り替えるSIMを開発。2022年2月に同社が発表した「アプレット領域分割技術」を活用しており、ローカル5G網と公衆モバイル網への接続を人手による操作を介することなくSIMのみで自動で切り替えられる。

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 NTTコミュニケーションズは2024年10月2日、オンラインで会見を開き、ローカル5G網と公衆モバイル網への接続を自動で切り替えるSIMを開発したと発表した。2022年2月に同社が発表した「アプレット領域分割技術」を活用しており、ローカル5G網と公衆モバイル網への接続を人手による操作を介することなくSIMのみで自動で切り替えられる。既に、NTT東日本が提供するローカル5Gサービス「ギガらく5G」を用いた技術検証と有用性検証を完了している。

SIMアプレットでローカル5G網と公衆モバイル網への接続を自動で切り替えを実現した
SIMアプレットでローカル5G網と公衆モバイル網への接続を自動で切り替えを実現した[クリックで拡大] 出所:NTTコミュニケーションズ

 今後は、2024年度下期に行うユーザーPoC(概念実証)による受容性評価検証を通して実用化を検討する。NTTコミュニケーションズのローカル5Gサービスのオプションとして提供する他、他社のローカル5G事業者に公衆モバイル網への自動切り替えが可能なSIMの製造/提供を行う可能性もある。

SIMアプレットの今後の展開
SIMアプレットの今後の展開[クリックで拡大] 出所:NTTコミュニケーションズ

ローカル5Gエリア内外を行き来するユースケースが出始めている

 2020年から国内での運用が始まったローカル5Gは、5Gを自営網として利用できることが最大のメリットであり、免許交付を受けた企業や組織が対象となる土地内をカバーエリアとして利用することが前提になっている。このカバーエリアからローカル5G対応の端末を持ち出す場合に、電波法とローカル5G導入に関するガイドラインを順守するためには、電源を停止したり、ローカル5Gと公衆モバイルのSIMを入れ替えたりなど、免許交付されていないカバーエリアの外で不要な電波送出を止める運用が必須になる。

ローカル5Gエリア内外を行き来する際の運用
ローカル5Gエリア内外を行き来する際の運用[クリックで拡大] 出所:NTTコミュニケーションズ

 その一方で、運用から5年が経過したこともあり、1つのカバーエリアの中でローカル5G対応端末を外に出すことなく使う用途にとどまらず、その端末をカバーエリア外に出して公衆モバイル網で利用したり、免許が交付されている複数のローカル5Gエリア間で端末を移動させたりするようなユースケースも出始めている。特に、スマートフォンなどの利用者が簡単に切り替え操作できる端末だけでなく、IoT(モノのインターネット)ゲートウェイルーターのように切り替え操作に手間がかかる端末などでは、カバーエリアから外に出す運用に制限が出てくる可能性がある。

 今回NTTコミュニケーションズが発表したSIMアプレットは、SIMそのものにローカル5G網と公衆モバイル網を自動で切り替える機能を組み込むことで、ローカル5Gに関わる法規制を順守しながら1つのカバーエリアに縛られない形でローカル5G対応端末を柔軟に運用できるようにする狙いがある。特に、手動での接続切り替えが難しいIoTデバイスに最適だ。

 NTTコミュニケーションズのアプレット領域分割技術は、SIMにおいて契約情報などが書き込まれている通信プロファイル領域と、アプリケーションなど通信以外の情報を書き込むアプレット領域を完全に分離して管理することができる。今回発表したSIMアプレットでは、通信プロファイル領域にローカル5G用プロファイルと公衆モバイル用プロファイルを実装しつつ、アプレット領域にエリア判定機能とプロファイル切り替え機能を組み込むことでSIMが自律的にネットワーク接続を切り替えられるようにした。

アプレット領域分割技術の活用でSIMアプレットを開発
アプレット領域分割技術の活用でSIMアプレットを開発[クリックで拡大] 出所:NTTコミュニケーションズ

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