TE Connectivity Japanは世界と未来をつなぐ、グローバルブランド力も強化:組み込み開発ニュース(2/2 ページ)
タイコ エレクトロニクス ジャパンが、2024年10月1日付で社名を「TE Connectivity Japan合同会社」に変更することを発表するとともに、社名変更の狙いや今後注力して行く取り組みなどについて説明した。
EV向けに800Vソリューションを展開、産業機器向けでは日本発製品が多数
自動車・Eモビリティ市場においてTE Connectivityは、特に車載コネクターメーカーとして大きな存在感を持っており、同社がグローバルで展開する26の生産拠点、19の研究開発拠点、約2500人のエンジニアを原動力に、自動運転化に関わる高速通信技術や電動化への対応で業界に先駆けていく体制を整えている。
EV(電気自動車)などEモビリティ向けの高電圧/大電流に対応するソリューションも広く採用されており、充電時間の短縮などで今後のEモビリティで重要な役割を果たす800Vソリューションも中国や欧州などの先行市場で提供を始めている。中でも、充電時に高電圧/大電流を扱うことになる充電インレットについては、一般ユーザーが使うというリスクを踏まえてバッテリーとの接続の安全性確保やセンサーによる異常検知などを含めて安心を提供できるようにしていく。
タイコ エレクトロニクス ジャパン 日本/ASEAN地域 オートモーティブ事業部 営業部&マーケティング本部 本部長の木村英史氏は「中国と日本のようにEV市場は地域ごとに受け入れ状況に大きなギャップが存在しているが、グローバル展開するTE Connectivityがそのギャップを小さくしていく役割を担っていくことが期待されている。今回のTE Connectivity Japanへの社名変更は、そういった観点でポジティブで大きなインパクトがある」と述べる。
次世代ものづくり市場では、日本法人の本社を置く川崎拠点(川崎市高津区)を中核に、顧客の要望に合わせた産業機器向けの新製品開発を3Dプリンタなどを活用して短期間で行える体制を整えている。
産業機器向けのコネクター製品でグローバルに展開する「ダイナミックコネクタシリーズ」は日本法人で開発した代表的な製品であり、幅広い用途をカバーするラインアップや明瞭な嵌合とクリック感が評価され30年以上採用され続けている。同シリーズは、ロボット内部での接続に使う小型中継用で従来比3分の2サイズの「ダイナミックD1000スリム」や、角型防水の「HDCダイナミック」などの新製品も追加されている。「今後も、日本国内での新製品開発により、市場ニーズを先取りして産業用コネクターのラインアップを拡充していきたい」(タイコ エレクトロニクス ジャパン インダストリアル ソリューションズ事業本部長 兼 インダストリアル事業部 セールス&マーケティング 本部長の酒井美奈氏)という。
近年拡大が著しいのがCloud/AI市場である。生成AI(人工知能)の登場によりデータセンターのサーバ間接続を高速に行うための技術が差異化のポイントになっているが、TE Connectivityは帯域幅112Gbpsに対応するソリューションを量産提供しており、さらに2倍となる帯域幅224Gbpsのソリューションのサンプル提供も始めている。「短期間で高度で複雑な技術を実現するため、接続ソリューションの設計プロセスにAIを取り込んでいる」(タイコ エレクトロニクス ジャパン コミュニケーションズ ソリューションズ事業本部長 兼 データ&デバイス事業部 アドバンスドテクノロジー シニアディレクターの白井浩史氏)とのことだ。
社名変更の目標の一つに掲げる職場環境の構築では、コアスローガンに「TEで大切なつながりを築く」を掲げ、イノベーションの促進、インクルージョン、成長/キャリアの促進を重視する方針である。イノベーションの促進では、2023年度に7億800万米ドル(約1000億円)の研究開発エンジニアリング投資をグローバルで行っており、1万5000件以上の特許/特許出願を達成したとする。インクルージョンでは、地域ごとにさまざまな取り組みを行う中で、日本法人からは「WIN(WO+MEN IN NETWORKING)」と呼ぶ女性活躍を推進する取り組みが高く評価されているという。さらに、日本国内に工場を展開することもあり「ウェルビーイングと職場の健康と安全についてもしっかりとした取り組みを進めていいきたい」(タイコ エレクトロニクス ジャパン HR統括部長の雨宮將起氏)としている。
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