「トヨタ生産方式を本格導入」、タイコ エレクトロニクスの掛川工場が操業開始:車載電子部品
タイコ エレクトロニクス ジャパンは、自動車用コネクタなどを生産する掛川工場(静岡県掛川市)の操業を開始したと発表した。同工場は、トヨタ生産方式を導入しており、ハイブリッド車や電気自動車向けなどの先端コネクタ製品を高効率で生産することができる。
電子部品大手TE Connectivityの日本法人・タイコ エレクトロニクス ジャパンは2013年5月8日、自動車のECU(電子制御ユニット)やワイヤーハーネスに用いるコネクタなどを生産する掛川工場(静岡県掛川市)の操業を開始したと発表した。
掛川工場の敷地面積は約6万5000m2。地下1階、地上2階で構成される工場棟の建設面積は約1万9000m2で、延べ床面積は2万4100m2となっている。投資金額は、土地や建屋を含めて約60億円である。従業員数は約450人。2013年夏ごろには、稼働率を70%程度まで高めて本格的な操業に入るという。
同社社長の江部秀氏は、同工場内で開いた記者会見で、「掛川工場の建設は、2007年から自動車事業本部がビジネスイノベーションに向けて進めてきたプロジェクトの一環として、計画的に進めてきたものだ。計画当初から現在までの間、リーマンショックや東日本大震災が起こり、円高も進行するなど、日本国内に量産工場を持つことの価値が問われている。当社としては、この掛川工場で、日本の高い技術と品質を基にした最高水準のモノづくりを実現し、それを手本としてグローバルに展開していきたいと考えている」と語る。
掛川工場では、ハイブリッド車や電気自動車向けをはじめとする先端コネクタ製品について、設計/開発から量産出荷、品質管理などを一貫して行えるような体制を構築している。この体制を構築する際に導入したのがトヨタ生産方式である。江部氏は、「当社とトヨタ自動車の関係は、エンジン制御のためにECUが導入され始めたころから始まって、既に50年近い歴史がある。この長年の関係を基に、掛川工場における先端コネクタ製品の生産に、トヨタ生産方式を適用するための取り組みを協力して進めてきた。この掛川工場で生産する先端コネクタ製品によって、当社の売上高を2020年には倍増させたい」と意気込む。
メガソーラーを設置、耐震強度は防災センターと同等
掛川工場は、トヨタ生産方式によって高効率を実現した生産ラインの他にも、環境対応やリスク管理に配慮した設備を導入している。
建屋の屋上には、4536枚の太陽光発電パネルを設置しており、最大出力は1079kWに達する。これは、同工場の使用電力の10〜15%に相当するという。また、コネクタの樹脂成型部品を製造する射出成形機の冷却に使用する水は、脱気や軟水化によって金型や配管を腐食させにくくした循環水を使用している。この循環水の活用によって、1日当たりの水使用量を1000tから200tに削減している。
リスク管理では、消火設備として、最大で毎分1900リットルの放水が行えるスプリンクラーを工場全域に設置した。この放水量は、消防法の規定と比べて約2.5倍に達する。建屋の耐震強度も、防災センターと同等レベルを確保した。加速度が600ガルの揺れが加わっても、設備の損壊は小規模に抑えられるという。
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