ヤマ発の電動車いすの技術を応用、300kgも押せるアシストユニットや狭小AMRも:国際物流総合展2024
ヤマハ発動機は「国際物流総合展2024」において、同社製の電動車いすに使われているインホイールのドライブユニットを使った製品を出展した。
ヤマハ発動機は「国際物流総合展2024」(2024年9月10〜13日、東京ビッグサイト)において、同社製の電動車いすに使われているインホイールのドライブユニットを活用した製品を出展した。
人手不足を背景として搬送作業の自動化ニーズは高まっている。一方で、近年のAGV(無人搬送車)やAMR(自律型搬送ロボット)は高機能化して価格も高くなる傾向にあった。
同社では、電動車いすに採用されているドライブユニットを活用し、必要な機能をモジュール化して、ユーザーのニーズに応じてカスタマイズできる「COW-el(Casual Order Wheel)」としてAGVやAMRの開発を進めている。
開発中のCOW-el:狭小AMRは、3D-LiDAR(Light Detection and Ranging、ライダー)を搭載しており、磁気テープやマーカーなどを必要とせず自律走行が可能だ。通路幅が1mあれば屋内外を走行でき、7度以下の購買や5mmの段差も走破。車体の前後に2D-LiDARを付けているため障害物を検知すると安全に停止する。電動車いすのドライブユニットのため走行時の静粛性も高い。現状の積載、けん引可能な重量は最大100kg、最高速度は毎秒1mとなっている。
COW-el:WashableAGVは、水で洗浄可能で1時間当たり10mm程度の雨でも安定して走行できる。その他にも凹凸や段差のある悪路、7度以下の勾配のスロープなども走破する。誘導方法としては、地面にひいた誘導線を認識しながら走行する。積載重量は最大100kgで、最高速度は毎秒60cmとなっている。
電動アクチュエーターモジュールによる台車自動連結機能を備えており、台車連結ゾーンに進入後、自動で連結、切り離しを行うことができる。
電動アシストユニットは、台車に取り付けることで重量物の運搬をサポートする。実際にヤマハ発動機の社内でも使用しており、320kgの重量物を搬送した実績もあるという。こちらもインホイールモーターのため前後進や速度変更が容易で、屋内外の走行が可能だ。
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