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単一タンパク質の温度による微細な構造状態の変化を解析する技術を開発:研究開発の最前線
東北大学らは、単一タンパク質の温度による微細な構造状態の変化を解析する新しい一分子計測技術を開発した。修飾塩基によるDNAやRNAの構造解析にも応用が可能で、幅広い分野への応用が期待される。
東北大学、長岡技術科学大学、東京大学は2024年8月26日、単一タンパク質の温度による微細な構造状態の変化を解析する新しい一分子計測技術を開発したと発表した。直径数nmの微細な孔(ナノポア)を加工する技術とレーザー照射による温度調整技術の組み合わせにより、1つの分子ごとのレベルで詳細な構造情報を得られる。
具体的には、厚さ50nmの窒化シリコンナノ薄膜に青色レーザーを照射し、同時に電圧を印加する「レーザーエッチング破断法」でナノポアを作製。上面と下面が異なるスピードで薄膜化するpH条件下で加工を施すことで、高感度で非対称かつ薄型のナノポア(非対称薄型ナノポア)の作製が可能となった。タンパク質はナノポア上面に捕捉され、一定時間滞留して通過するため、通常の検出方法より長く解析できる。
非対称薄型ナノポアによるシトクロムc検出。a)印加電圧75、100、125、150mVにおけるシトクロムc検出波形、b)実験結果の散布図(横軸:遮断電流時間、縦軸:電流遮断率)、c)電流遮断率のヒストグラム[クリックで拡大] 出所:東北大学
この薄膜に可視光レーザーを照射し、ナノポア付近の温度をコントロールする「ナノポアサーモスコピー法」を用いて、タンパク質「シトクロムc」の温度依存的な構造変化を調べた。その結果、加温により電流遮断の増加を確認。シトクロムcのαヘリカル構造の変性を検出できた。
この計測技術は、修飾塩基によるDNAやRNAの構造解析にも応用が可能だ。今後、医学や創薬分野など幅広い分野への応用が期待される。
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