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EV向け「4680セル」電池の量産準備完了、パナソニック エナジーが和歌山工場で工場ニュース(2/2 ページ)

パナソニック エナジーは、EV向け円筒形リチウムイオン電池の最新型となる「4680セル」の量産準備を完了し、同セルのマザー工場となる和歌山工場の開所式を行った。今後、戦略パートナーの最終評価を経て量産を開始する。

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リチウムイオン電池市場における競争環境

 ここからは、メディアの合同取材に応じた只信氏の一問一答の内容を紹介する。

―― 4680セルのグローバルでの展開についてどう考えるか。国内での展開もあり得るのか。

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パナソニック エナジー 社長執行役員 CEOの只信一生氏

只信氏 4680セルの魅力は、パック化におけるモノづくりの面で大きなメリットがあるという点で、それは世界共通だと考えている。まず和歌山工場での生産分については、米国の戦略パートナーに対し責任を果たしていくが、その後どのような形になるのかは現時点でまだ何とも言えない。国内のパートナーも可能性としてはあり得るが、これも顧客のある話で何とも言えない。

 2024年9月6日に発表したマツダやSUBARUとの電池生産についてはまずは2170でスタートし、国内のEV市場を作っていくことに集中する。ただ、和歌山工場での新たな工法は4680セルの生産に特化したものではないため、2170セルの生産にも貢献すると考えている。

―― 4680セルでも世界中の電池メーカーが取り組みを加速させているが、競争力や立ち位置についてどう考えているのか。

只信氏 EVをより広く世の中に普及させることを考えると、電池についてもバリエーションが必要になる。特にEVについては、電池のサイズ選定がクルマの在り方に影響する面が大きくなるため、電池としてのバリエーションを増やすことはとても重要だ。より大きいものではパワーが必要になり、小さいものだと効率性や小さい電池を組み合わせたものが必要になる。その上で、エネルギー密度を高め、効率を良くしていくということが必要だ。そのバランスを取ることが製品として求められており、そこを追求していく。

 また、車両向けだけでなく、開発した蓄電池技術はさまざまな用途などもあり得ると考えている。4680セルもまずは車載向けに集中するが、今後どうするかは検討していく。

マザー工場としての和歌山工場の役割

―― 和歌山化工場での生産規模や量産開始時期についてはどう考えているのか。

只信氏 生産規模について詳細はお話しできないが、最初は数GWhレベルで量産をスタートさせる。量産時期については戦略パートナー次第というところだ。量産を本格的に開始するためにはオペレーションを見てもらった後で、製品を確認してもらうという流れがある。今はそういう段階に入ったということで、戦略パートナーの承認が終われば進む形となる。一緒に今仕上げに入っているというフェーズだ。

 数GWhクラスというのは、グローバルを想定した工場としては小さいが、和歌山工場の役割としては、量産における技術開発や工法開発、オペレーション開発などの役割を担う。電池の研究開発拠点としては、住之江工場に生産プロセスを研究開発する研究開発棟を新設した他、門真拠点にも国内最大規模のEV向けの研究開発拠点を新設することを計画しており、国内で素材や生産プロセス、量産体制構築まで垂直型の研究開発体制を構築している。

―― 数GWhという4680セルの当初の生産規模を見ると、電池事業全体における4680セルの利益貢献度はまだ低いように感じるが、どのように捉えているのか。

只信氏 4680セルの製品単体で見るのか、付随する技術開発や合理化などの効果をどう取るのかで変わってくる。製品単独でも収益を伸ばせるようにまずは量産をうまく立ち上げていくことが大前提となる。その上で、和歌山工場で生み出したモノづくりのイノベーションを横展開することで得られるプラスアルファの効果がある。和歌山工場で生まれた技術をカンザスの新工場でも活用するような動きも出ている。

―― 4680セルの量産で得られたものを海外展開するというが具体的には何をやっているのか。オペレーターの教育の場としても活用するのか。

只信氏 米国ネバダ工場では、オペレーションのスキルの問題などでうまく立ち上げができずにロスが生まれた。そこから、スキル教育の重要性や、人のスキルに頼り過ぎない工法など、多くの学びがあった。そこで、和歌山工場でそういう工法の開発やオペレーションの確立などを進め、それを固めた上で現地で固有のものにアジャストさせるというやり方を取ることを考えている。オペレーションについては、和歌山工場に現地の工場のオペレーターを受け入れて教育やトレーニングを行う。そういう場として使っていく。製品の生産だけでなく、要素技術や要素工法の開発と実証の場として活用する。

―― 和歌山工場の汎用性などについてどう考えるか。EVの普及が変化する中で他の製品への切り替えなどもやりやすいのか。

只信氏 われわれが円筒形リチウムイオン電池に力を入れている理由は、中の素材を切り替えることでパフォーマンスを変えられるという汎用性にある。例えば、需要の変動により、EV向けで製造していたリチウムイオン電池を、PHEV用に切り替えることなどは可能だと見ている。そういうフレキシビリティがある点は強みだ。

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