トヨタ自動車とBMWグループは2024年9月5日、水素分野での協力関係を強化することに合意したと発表した。燃料電池(FC)システムの開発やインフラ整備などに共同で取り組む。
写真左からトヨタ自動車 取締役副社長の中嶋裕樹氏、トヨタ自動車 代表取締役社長の佐藤恒治氏、BMW 取締役会会長のオリバー・ツィプセ氏、BMW 取締役 開発部門担当のフランク・ウェバー氏[クリックで拡大] 出所:トヨタ自動車
燃料電池システムに関しては、第3世代品を共同開発して両社のモデルに搭載する。より幅広い燃料電池車(FCV)の選択肢を提供していく。2028年には、共同開発の燃料電池システムを搭載したBMWの量産型FCVが生産される。
開発や調達で協力することによるシナジー効果の創出、パワートレインユニットの統合によるコスト削減を狙う。また、乗用車だけでなく商用車の需要拡大にも取り組む。水素エネルギーの普及にはまとまった需要を創出する必要があるとしており、BMWも「水素モビリティの可能性を最大限実現するには、商用車での利用やインフラの確立が必要」(プレスリリース)だと考えている。
水素の製造や供給を行う事業者とも協調し、インフラ整備や水素の安定供給と低コスト化にも取り組む。水素インフラの開発に積極的な地域とのプロジェクトも模索している。また、経済的な実現可能性を確保するため、水素モビリティの初期段階での普及を促進する枠組みを政府や投資家によってつくっていくことも提案する。
トヨタ自動車とBMWの協力が始まったのは2011年末だ。トヨタ自動車 代表取締役社長の佐藤恒治氏は「BMWとの協業が新たなステージに入ることをうれしく思う。長年のパートナーシップで、クルマづくりへの情熱やカーボンニュートラルに向けた考え方を共有していることを確認してきた。水素社会の実現に向けて協力関係を深めていく」とコメントを発表した。
BMW 取締役会会長のオリバー・ツィプセ氏は「(2028年に生産開始予定のFCVは)プレミアムメーカーによって提供される初めての量産モデルになる。協業によって、技術の進歩が将来のモビリティを形作ることを示していく。多くの人々がFCVを求める時代の幕開けになるだろう」と述べた。
2028年に生産開始予定のFCVは、既存モデルのバージョンの1つとして生産される。BMWではFCVの試作モデル「iX5 Hydrogen」のテスト走行を各国で実施するなどFCV開発の取り組みを続けてきた。FCVはEV(電気自動車)技術の1つと位置付けている。
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