“開製”連携で柔軟で効率的な製造を、パナソニックのコールドチェーン事業:メイドインジャパンの現場力(2/2 ページ)
パナソニック コールドチェーンソリューションズ社は、コールドチェーン市場拡大に合わせて開発した新たなスーパーショーケースの出荷式を開催するとともに、コールドチェーン事業の戦略について説明した。また、主力となる大泉拠点の工場での生産効率化への取り組みを紹介した。
大泉拠点のモノづくりの強み
こうした製品として差別化に加え、主力となる大泉拠点での生産能力向上にも取り組んでいる。パナソニックの大泉拠点は、土地面積約79万m2に約4200人の従業員が働いているコールドチェーンソリューションズ社と空室空調社の国内主力生産拠点である。
ショーケースは、天面や側面などの部品を、金属のせん断加工や曲げ加工などにより作り、塗装を行い、これらを組み立てて製造している。この部品加工や塗装については、機器の導入による自動化を進めていることが特徴だ。プレス加工についても複合プレス加工機を導入し、工程集約により多様な品種の部品を効率よく加工している他、安全性向上などにも貢献しているという。
製造部門を担当するパナソニックAP空調・冷設機器 共同社長の木村和明氏は「従来のプレス加工設備では、加工部に従業員がワークを運ぶ工程となっていたが、全自動機を導入したことで、従業員に危険が及ぶことなく全ての加工を機器内で行えるようになった。安全性などの面でも基準を確認しながら順次投資を進めている」と説明する。
導入されているTRUMPFのパンチレーザー複合加工機「TruMatic 6000 fiber」。複数工程を1台でこなすことができ、従業員が加工領域に入ることなく加工が行え、安全性を高められている[クリックで拡大]
これらの加工した部品などの搬送については、構内無人搬送車を導入し、構内搬送の自動化などにも取り組んでいるところだ。これは、ヤマハ発動機とティアフォーの共同出資会社であるeve autonomyとの協力で進めているものだ。eve autonomyが展開する自動搬送サービスのeve autoを活用し、敷地内の複数の建屋間を自動搬送している。屋外も問題なく自律走行できている点が特徴だ。
木村氏は「大泉拠点は部品加工と組み立て加工が別の建屋となっており建屋間搬送が必要になる。ショーケースに使う部品は重量もある程度あるため、フォークリフトなどを使用して搬送する必要があるが、人手がかかるほか、事故の可能性なども高まる。こうした負担を解消するために導入した。構内無人搬送車はMAMORUと名付けられ、従業員にも親しまれている」と語る。
組み立て工程については、顧客の多彩なニーズに対応するため、同一ラインで他機種の製造を可能とした「ハイブリッド生産ライン」方式としている。機種ごとに搭載部品や作業工程が異なるため、小売店に特化した特別受注などに対応するラインでは、使用する部品などを無人搬送車(AGV)に搭載し、工程が進むごとに、そのAGVがついてくるような仕組みとしている。また、多品種少量に対応しながら、全体のタクトタイム表示などで進捗状態などは一元的に把握しやすいようにしている。
木村氏は「製品によっては一品一葉に近いものがあるため、使用する部品などもそれに合わせて切り替える必要がある。その作業が煩雑になるため、使用部材の入れ替えなども簡単に行えるようにAGVの活用などを工夫している。1つのラインで複数の製品を製造するために、従業員の多能工化など教育面でも役立っている」と語っている。
木村氏は「大泉拠点は、製造と開発などが1つの拠点に集まっていることが強みで、連携したモノづくりを行えることが強みだ。製造としてはさらに投資を進めフレキシブルなモノづくりを実現し、さらにパナソニックの事業競争力を強めていきたい」と今後について述べている。
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