設計から見直し家電に再生プラを積極採用、日立GLSのサステナブル経営戦略:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
日立GLSはサステナブル経営の説明会を開催した。本稿では、サステナブル経営のうち、環境についての取り組みについて紹介する。
廃棄物量を2050年までに2010年比50%削減
「資源循環」については、製造拠点からの廃棄物埋め立て率ゼロや製品への再生プラスチックの利用拡大を進める。製造拠点の廃棄物/有価物発生量原単位は2024年度は、2010年度比で113%となっているが、2050年度には50%まで削減する計画だ。また、製造拠点の水使用量原単位についても2010年度比で2050年度には50%まで削減する(2024年度は61%)。
そのための具体的な取り組みとして、資源循環についての負荷を削減するために、混在したプラスチック素材の中からポリプロピレン材を選別するミックスプラスチック選別装置を栃木事業所内にある関東エコリサイクルに導入している。
さらに、コードレススティッククリーナー「PV-BH900SM」では、再生プラスチックをプラスチック使用部の多くに採用した。再生プラスチックでは元素材の色の影響を受けるため、白色や透明の再現が難しいが、設計思想として「リサイクルのしやすさ」を織り込み、黒系の色でまとめた他、二次的な加工を減らしているという。
「リサイクルを考慮すれば、設計の在り方も変わってくる。再生プラスチックについては、透明や白色が難しいため逆転の発想で黒系の色を生かす設計と変えた。どういう形であれば許容できるかを設計から織り込んでいく。共通部品化など長く使えるような仕組みや部品の共通化なども含め、ビジネスのやり方も変えていくことも検討している」と大隅氏は語っている。
環境についての取り組みは、ビジネスとの折り合いが難しい面も出てくるが、大隅氏は「総合的にCO2排出量を減らす方法や資源循環が可能な方法をまず検討し、それを採用するかどうかは経営判断になるというのが基本姿勢となる。例えば、CO2排出量削減が必ずしもコストアップにならない領域もあり、そういう部分は積極的に採用を進められる。そうでは部分でどこまで傾斜を掛けられるかが経営手腕だと考えている。環境の取り組みについては、コスト最優先では進まない部分もあるので、バランスを取りながらも知恵を出しながら積極的に進めていく」と考えを述べている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- AI活用の空調機器制御で契約電力低減を目指す日立GLSのIoTサービス
日立グローバルライフソリューションズは「FOOMA JAPAN 2024」において、同社の空調IoTソリューション「exiida」などを訴求した。 - 日立の細胞培養加工施設とバリューチェーン統合基盤を活用した再生細胞薬を提供へ
沖縄県で再生医療事業を手掛ける由風BIOメディカルが日立グローバルライフソリューションズの最新式の細胞培養加工施設と、日立製作所のバリューチェーン統合管理プラットフォームを活用した再生細胞薬の製造、供給を2023年6月から開始する。 - 日立が取り組む香りのデジタル化、ソフトウェア活用で複数の成分を同時計測
日立グローバルライフソリューションズは「FOOMA JAPAN 2023」において、日立製作所と共同で数年前から開発中の香りセンシングソリューションを参考出展した。2024年度以降の事業化を目指している。 - ボッシュが日立の空調合弁会社を買収、清水事業所はなぜ日立グループに残るのか
日立子会社の日立グローバルライフソリューションズ(日立GLS)とジョンソン・コントロールズ・インターナショナル(JCI)は、両社が共同出資で設立した空調事業の合弁会社であるジョンソンコントロールズ日立空調の全株式をボッシュに譲渡する。 - 「白くまくん」はボッシュ買収後も栃木事業所で生産、雇用も継続
日立ジョンソンコントロールズ空調は、ボッシュに買収された後の日本国内における事業の方向性について説明。1975年に日立ルームエアコンの総称として採用され、2025年に50周年を迎える「白くまくん」を今後も国内事業で継続して展開していくことを明言した。 - 日立の空調合弁会社売却で始まる、国内空調業界の再編
国内に多数ある空調機器メーカー再編の号砲になる……のかも。