設計から見直し家電に再生プラを積極採用、日立GLSのサステナブル経営戦略:製造マネジメントニュース(1/2 ページ)
日立GLSはサステナブル経営の説明会を開催した。本稿では、サステナブル経営のうち、環境についての取り組みについて紹介する。
日立製作所グループで家電や空調機器の販売やサービスを提供する日立グローバルライフソリューションズ(以下、日立GLS)は2024年8月7日、サステナブル経営の説明会を開催した。本稿では、サステナブル経営のうち、環境についての取り組みについて紹介する。
サステナビリティ推進室を2024年4月に新設
日立GLSでは2021年度(2022年3月期)からサステナブル経営の推進に向けた社内準備を開始。2024年4月に「サステナビリティ推進室」を新設し、サステナブル経営を本格的に始動した。サステナビリティ推進室では、横ぐしで全社各部門との連携を推進し、サステナブル経営についての積極的な情報開示を行うとともに、ビジョン策定やそれぞれの部門におけるKPI(重要業績評価指標)の進捗状況とPDCAサイクルのモニタリング、従業員のマインド醸成などに取り組む。
その中で日立GLSとして取り組む5つの重要課題(マテリアリティ)として「環境」「DEI(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)」「レジリエンス」「安全、安心」「誠実な経営」を明確化し、さらにそれぞれにおいて取り組み項目と目標を明確化している。
日立GLS 取締役社長の大隅英貴氏はサステナブル経営を進める理由として「会社に誇りを持ってもらえるようにしたいというのが大きな動機だ。例えば、掃除機で再生プラスチックを使っていることで、社員の家族の中で会話が生まれるかもしれない。それで会社の取り組みを認めてもらえるようになるかもしれない。そういう形に社内や文化を変えていきたい」と述べる。
2030年までに製造拠点のカーボンニュートラル化を達成
環境面では、「脱炭素」「資源循環」「自然共生」についての取り組みを推進する。「脱炭素」では、バリューチェーンにおけるカーボンニュートラル化を推進し2030年度までに製造拠点全てのカーボンニュートラル化を実現する。さらに2050年にはGHGプロトコルのスコープ3で示されるようなバリューチェーン全体のカーボンニュートラル化を目指す。
そのために、それぞれの製造拠点で太陽光発電設備など再生可能エネルギーの導入を推進している。日立製作所グループで導入している「HICP(Hitachi Internal Carbon Pricing)」制度を活用し、CO2排出量削減に役立つ機器の導入に積極的に取り組んでいる。HICPとは、CO2排出量削減効果を金額換算して設備投資の評価に組み込むことで脱炭素投資の優先度を高める仕組みで、これを利用することで自社工場内にエアーコンプレッサー自動制御システムやアモルファス変圧器などの機器などを実際に導入した。さらに、工場内搬送に用いるフォークリフトの電動化なども推進しているという。
日立GLSの製品やソリューションを使用した際のCO2排出量削減については、2030年までに2010年度比較でCO2排出量50%削減を目指す(2024年度で43%削減)。具体的には環境配慮型の空調機器のラインアップを拡充。高い省エネ性能を実現する他、冷媒についても低GWP(Global Warming Potential)の開発や採用を推進している。また、空調における運用の省エネ化を進めるサービスとして「exiida遠隔監視・デマンド制御ソリューション」を展開。AIが常時消費電力を予測して、目標デマンド値を超えないように空調機器を制御するソリューションで、運用電力を削減することで、結果的にCO2排出量削減を実現する。
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