デクセリアルズは増収増益、自動車向け事業などが好調:製造マネジメントニュース
デクセリアルズは、2025年3月期第1四半期の売上高が前年同期比30.3%増の271億7600万円で、事業利益は同78.4%増の95億9500万円となった。
デクセリアルズは2024年8月7日、東京都内とオンラインで記者会見を開き、2025年3月期(2024年度)第1四半期(4月1日〜6月30日)の決算を発表した。
中華圏のスマートフォン向けに粒子整列型ACFが伸長
同期の売上高は前年同期比30.3%増の271億円7600万円で、事業利益は同78.4%増の95億9500万円となった。同社 執行役員 経営管理本部長の寺下和良氏は「コンシューマーIT製品市場における前期のサプライチェーン上の在庫調整からの回復や自動車向け事業が好調だったことなどにより、増収増益となった」と語る。
セグメント別では、光学材料部品事業の売上高は同36.9%増の125億7300万円で、事業利益は同85.6%増の34億6100万円となった。同事業の光学フィルムカテゴリーでは、ノートPC市場などにおける前期の在庫調整からの回復の影響や自動車向け採用モデル増加などにより、反射防止フィルムの数量が増加し、増収。光学樹脂材料カテゴリーでは、精密接合用樹脂における大手スマートフォン向け製品の数量増加などにより増収を達成した。
各材料や最終製品の売上高を見ると、反射防止フィルムは同27%増、蛍光体フィルムは同10%増、光学弾性樹脂は同24%増と好調だったが、タブレット端末向けは需要減で同10%減となった。
電子材料部品事業の売上高は同25%増の147億6500万円で、事業利益は同74.2%増の59億5300万円となった。同事業の異方性導電膜(ACF)カテゴリーでは、前期における顧客の生産調整からの回復に加え、中華圏のスマートフォン向けに粒子整列型ACFが伸びたことなどで増収した。
表面実装型ヒューズカテゴリーでは、主に電動工具などの大電流向けにおいて、前期から続く顧客の在庫調整により前期並みとなった。フォトニクスカテゴリーでは、光半導体は通信向け/センサー向けともに中国における需要回復の遅れの影響により減収となったが、マイクロデバイス向けはサプライチェーン上の在庫調整からの回復により増収となり、カテゴリー全体では増収した。
また、2025年3月期の業績見通しに関しては2024年5月13日に発表した「2024年3月期 決算短信」の予想値から変更はない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- デクセリアルズが“進化を実現する”2028中計を策定、2つの成長領域で事業を拡大
デクセリアルズは、2019〜2023年度の中期経営計画で課題として残った「事業ポートフォリオの拡大」と「環境変化への対応」を実現する2024〜2028年度の中期経営計画「中期経営計画2028『進化の実現』(2028中計)」を策定した。 - マイクロLEDディスプレイ製造の新プロセス技術、指定された電極だけにACFを転写
信越化学工業とデクセリアルズは、異方性導電膜(ACF)をレーザーで狙った場所に転写できるマイクロLEDディスプレイ製造の新規プロセス技術を共同開発した。 - スマートフォンの急速充電に適したセルフコントロールプロテクターを製品化
デクセリアルズは、30A定格のセルフコントロールプロテクター「SFS-0830A」を製品化した。ヒューズ抵抗を0.55mΩに抑えたことで、ヒューズ自体の発熱や消費電力が低減するため、同製品を搭載した機器は長時間駆動が可能になる。 - デクセリアルズのスマート工場がシェア9割の反射防止フィルムにもたらす進化
ソニーケミカルを出自とするデクセリアルズは、シェア90%以上のドライ式反射防止フィルムにAIアルゴリズムベースの外観検査を導入するなどスマート工場プロジェクトを推進している。 - インクジェット塗布対応の光学弾性樹脂を製品化、抜き加工による廃棄ロスを削減
デクセリアルズは、インクジェット塗布対応の光学弾性樹脂「Jettable SVR」を製品化した。適切な量を必要な箇所に塗布でき、塗布の厚みも細かく制御可能で、廃棄ロスを削減するほか、3D形状ディスプレイにも対応する。