川崎市は2024年8月2日、自動運転バスの実証実験を行う運行ルートやスケジュールが決まったと発表した。2025年1月から、都県境をまたぐ羽田連絡線と、川崎駅前がルートに含まれる川崎病院線で自動運転バスを走らせる。
2027年度にレベル4の自動運転バスを実装するため、2024年度はレベル2の自動運転で走らせる。知見やノウハウを蓄積し、他のバス路線への自動運転技術の導入や、臨海部での自動運転車を生かした街づくりにつなげる。自動運転技術によって都市交通の課題を解決する「川崎モデル」として構築し、横展開していきたい考えだ。
羽田連絡線は、大師橋駅から多摩川スカイブリッジを通り、羽田空港近くの天空橋駅(東京都大田区)までを結ぶ。自治体や警察が所管するエリアをまたいで自動運転バスが走行するのは「全国初」(川崎市)だという。川崎病院線は、川崎駅から川崎市役所、市立川崎病院などに向かう。
2025年1月13日ごろから関係者のみが乗車できるテスト走行を実施し、同月27日ごろから10日間、一般の利用客も乗車できる実証運行とする。
自動運転バスは、高精度3次元地図とセンサー、信号情報を用いて走行する。最高速度は時速35km。車両は、バッテリーの性能を改善し走行距離が従来比1.3倍になったティアフォーの電動バス「Minibus v2.0」だ。充電には再生可能エネルギー由来の電力を使用する。
川崎モデルは、公共交通のドライバー不足への対策として、自動運転と有人運行を組み合わせて地域交通の環境を形成することを目指す。地域の特性に応じて戦略的に自動運転バスを導入できるようにする。企業や大学とも連携し、自動運転車が身近な存在になる環境づくりも進める。
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