パナソニックグループがプロジェクター事業をオリックスに売却、新会社を設立:製造マネジメントニュース
パナソニック コネクトは、プロジェクター事業などに関して、オリックスと戦略的資本提携を行う。
パナソニック コネクトは2024年7月31日、プロジェクター事業などに関して、オリックスと戦略的資本提携を行うことを発表した。
パナソニック コネクトのプロジェクター事業は、1975年にCRTプロジェクターを商品化して以来、独自のデバイス制御技術を生かして多くの製品を展開してきた。プロジェクター事業の売上高は2023年度で約770億円となっている。一方で、プロジェクター事業を今後さらに成長させていくためには、ハードウェアに加えソフトウェアの重要性がさらに増し、イマーシブ(没入型)テクノロジーなどの応用技術を開発していくことが求められ、継続した投資が必要になる。
これらを背景に、パナソニック コネクトが持つ技術力と顧客基盤、オリックスが持つ投資力や知見を活用することで、プロジェクター事業のさらなる成長につながると判断し、今回の資本提携を決定した。今回の提携を生かし、ハードウェア技術への継続的な技術開発投資や、グローバルでの戦略的アライアンス構築など、非連続な成長戦略の構築と実行を目指すとしている。
具体的には両社の出資により、2025年4月1日に新会社を設立する。新会社は、オリックスが80%、パナソニック コネクトが20%の株式を保有する予定で、資本提携後もパナソニックブランドは継続する。新会社も当面の間、パナソニックを冠した社名を付けるとしている。パナソニック コネクトのメディアエンターテインメント事業部を母体とし、海外については、北米、欧州、中国、オーストラリア、シンガポール他の販売機能を継承した新たな会社や支店などを設立し、新会社の子会社とする。日本国内においては引き続きパナソニック コネクトの現場ソリューションカンパニーが販売機能を担う。譲渡価額は1185億円となる。
パナソニック ホールディングスは2025年3月期(2024年度)から事業ポートフォリオマネジメントを強化する方針を示しており「グループ共通戦略との適合性」「事業の立地と競争力」「ベストオーナーの視点」の3点で見直しを進めている。パナソニック ホールディングス 代表取締役/副社長執行役員でグループCFOの梅田博和氏は「プロジェクター事業についてはオリックスの力を借りた方がいいという判断だ。事業ポートフォリオマネジメントについては現在もさまざまな検討を行っている」と語っている。
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