2つの車載システムを通信接続、故障の影響は防ぐデジタルアイソレーター:材料技術
東芝デバイス&ストレージは、「TECHNO-FRONTIER2024」に出展し、ハイブリッド自動車(HEV)や電気自動車(EV)向けの製品として、「ハイスピード 4チャネル 車載デジタルアイソレーター」と「ハイスピード 2チャネル 車載デジタルアイソレーター」を参考出展した。
東芝デバイス&ストレージは、「TECHNO-FRONTIER2024」(2024年7月24〜26日、東京ビッグサイト)内の「第3回 パワーエレクトロニクス技術展」に出展し、ハイブリッド自動車(HEV)や電気自動車(EV)向けの製品として、「ハイスピード 4チャネル 車載デジタルアイソレーター」と「ハイスピード 2チャネル 車載デジタルアイソレーター」を参考出展した。
2024年10月には量産予定
両製品は、交流(AC)電力を直流(DC)に変換してバッテリーに充電を行う車載電装品のオンボードチャージャー(OBC)やバッテリーの充放電を監視/制御する電子制御回路のバッテリーマネジメントシステム(BMS)などで、高電圧部と低電圧部間の絶縁部品として安全性の向上に貢献する車載向けのデータ通信用アイソレーターだ。SPI通信、CAN通信、LIN通信といった通信方式に適したチャネル構成の選択が行える。
具体的には、OBCやBMSなどにおける高電圧部〜低電圧部間の通信ラインの絶縁とノイズ遮断に貢献する。両製品の特徴は、最大データ伝送速度50Mbpsで、高コモンモード過渡耐性は100kV/μsな他、2重絶縁構造で高い絶縁耐圧を確保している。
東芝デバイス&ストレージの説明員は「活用事例の一例を挙げると、車載用のシステムとしてAとBがありこれらの間で通信を行いたいが、片方の故障の影響で両方が壊れる事態を防止したい際に今回の車載デジタルアイソレーターが役立つ。例えば、今回のデジタルアイソレータの右側のチャネルにAのシステムを、左側のチャネルにBのシステムを接続することで、AとBのシステムで通信が行えるようになる。加えて、右側と左側のチャネルが独立した回路となっており電気的に接続されていない他、車載デジタルアイソレーターの中間に絶縁層があるため、片側につなげられた高電圧のシステムが故障してももう片側に高電圧が行かないようになっている。そのため、AとBの間での通信を実現しつつ、片方の故障の影響で両方が壊れる事態を防げる」と語った。
チャンネル数が4チャンネルのハイスピード 4チャネル 車載デジタルアイソレーターは、保存温度が−65〜+150℃で、動作温度範囲は−40〜+125℃。電源電圧は3.3V/5.0V、絶縁耐圧は5kVrms、絶縁試験の安全規格「UL1577」を取得している。パッケージはサイズが7.5(奥行き)×10.3(幅)×2.45(高さ)mmの「SOIC16-W」を採用している。
チャンネル数が2チャンネルのハイスピード 2チャネル 車載デジタルアイソレーターの保存温度、動作温度範囲、電源電圧、安全規格はハイスピード 4チャネル 車載デジタルアイソレーターと同様だ。絶縁耐圧は3kVrmsとなる。なお、会場では両製品ともにピン配置が異なる複数のタイプが披露された。
東芝デバイス&ストレージの説明員は「当社では産業用のデジタルアイソレーターは2023年に発売していたが、車載用は開発が遅れていた。とはいえ、現在は車載デジタルアイソレーターのサンプルを提供可能な状態にあり、2024年10月には量産に入れる見込みだ」とコメントした。
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