あらゆる路面にシンクロするオールシーズンタイヤを発売、2つの機能でポリマーを制御:材料技術(3/3 ページ)
住友ゴム工業は、DUNLOP(ダンロップ)の製品として、ドライ、ウェット、氷上、雪上といった路面にシンクロする次世代オールシーズンタイヤ「SYNCHRO WEATHER(シンクロウェザー)」を2024年10月1日から発売する。
SYNCHRO WEATHERの販売戦略と今後の展開
SYNCHRO WEATHERの販売は販売認定試験に合格した店舗のみで行う。住友ゴム工業 執行役員 タイヤ事業本部 国内リプレイス営業本部長 兼 ダンロップ 代表取締役社長の河瀬二朗氏は「SYNCHRO WEATHERは、ドライバーの負担となるタイヤ交換の手間を減らせる他、販売店では春と冬に集中するタイヤ交換の時期を分散でき、販売/接客に注力可能となる。現在、DUNLOPの直営店である数百店舗が中心となりSYNCHRO WEATHERの販売認定試験を受け、顧客への提供に向けて準備を進めている。価格についてはDUNLOPブランドで最高クラスの価格を予定している」と述べた。
同社ではSYNCHRO WEATHERのターゲット像として、「東京都内に住む夫婦共稼ぎ(世帯年収1000万円以上)の40歳代パワーカップル」と「東京都内に住む50歳代の夫婦(世帯年収1200万円以上)で、子育ては一段落しているが仕事では要職に就いている世帯」を掲げている。
東京都内に住む夫婦共稼ぎの40歳代パワーカップルのイメージに関しては、子供は2人で1匹の小型犬を飼い、週末は家族と犬を連れて郊外のアウトレットモールでショッピングを行う。数カ月に1度は家族でアウトドアレジャーを楽しみ、購入前にはネットで情報収集を念入りに実施し、価値あるものや流行に敏感。夫婦ともに忙しく、「タイムパフォーマンス」や「コストパフォーマンス」というワードに魅力を感じ、家電は時短機能が付いたものやスタイリッシュなものを愛用している夫婦を想定している。
子育ては一段落しているが仕事では要職に就いている東京都内に住む50歳代の夫婦のイメージについては、平日は早朝にランニングするなど、隙間時間も充実した時間になるように心掛けている。週末は夫婦でドライブを行い、数カ月に一度は夫婦で自動車で国内旅行を楽しむ。身の回りの欲しいものはある程度満たされており、新たに取り入れるアイテムは機能や価値の高さを検討して購入する傾向がある。自身に必要と感じたものに対しての支払いはあまり金額を気にしない傾向にある夫婦を想定している。
今後は、2024年10月1日から国内でSYNCHRO WEATHERを販売した後、欧州や米国での展開を予定している。同社 代表取締役専務執行役員 タイヤ事業本部長の西口豪一氏は「日本の次は欧州で展開するだろう。欧州はタイヤ市場のシェアで20%をオールシーズンタイヤが占めている他、DUNLOPブランドも確固たる地位を築きつつあるからだ。欧州のタイヤ販売会社の社長が今回の発表会に欧州から来ており、期待されている」とコメントした。
アクティブトレッドの開発進捗に関して、同社 タイヤ事業本部 材料開発本部長の水野洋一氏は「現状のアクティブトレッドの性能は、最終的に目指す性能と比較すると3〜4合目というところだ。摩耗性に改善できるポイントがある。今後はそういった点を改良し、2027年には進化したアクティブトレッドを備えたオールシーズンタイヤを発売する予定だ」と語った。
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