三菱電機のデジタル基盤「Serendie」はハードウェアを賢く進化させる原動力に:製造業IoT(2/2 ページ)
三菱電機がデジタル基盤「Serendie」関連事業の戦略について説明。2030年度のSerendie関連事業の目標として、売上高で2023年度比71%増の1兆1000億円、営業利益率で同7ポイント増の23%を掲げるとともに、同事業の拡大を支えるDX人財の数を2023年度の6500人から約3倍となる2万人に増やす。
技術基盤だけではないSerendie、横浜拠点はDX人財が総計500人規模に
Serendieは、三菱電機が手掛けるさまざまなハードウェアのデータを集約するための技術基盤だけではない。三菱電機社内のビジネスユニット間の連携を深めるとともに顧客との共創を行うための共創基盤や、DX人財の拡充やスキルセットの整備を進める人財基盤、新たなソリューションを短期間で創り出すためのスクラム活動やアジャイル開発を行うためのプロジェクト推進基盤でもある。武田氏は「Serendieはこれらが一体になって初めて実現できると考えている」と強調する。
共創基盤との一つになるのが、会見を行った共創拠点のSerendie Street YDBである。横浜駅から徒歩数分の横浜ダイヤビルディング(YDB)に2024年3月に開設しており、DX人財約150人が集結している。
2025年1月には、同じく横浜駅を最寄りとする横浜アイマークプレイス(YIMP)に、DX人財350人が入居する「Serendie Street YIMP」を開設する計画だ。Serendie Street YDBとSerendie Street YIMPの活動を連携させることで、総計500人規模の「Serendie Street Yokohama」として活動を拡大していく。
共創拠点であるSerendie Streetで目指すこと。技術基盤、共創基盤、人財基盤、プロジェクト推進基盤に顧客、パートナー、データが集まることで新たなソリューションを生み出す[クリックで拡大] 出所:三菱電機
人財基盤では、これらSerendie Streetの活動を通してDX人財の数を2023年度の6500人から約3倍となる2万人に増やす。組み込みソフトウェア開発や大規模システム開発といった、三菱電機の現在の主力事業に携わるIT技術者のリスキリングを中心に、新規採用やM&Aで補っていく形を取る。また、顧客に近いフロントサイドから開発側のバックサイドまで7つの「DXスキルセット」を定義することで、DX人財を明確に目指しやすくしていく。
Serendie関連事業は、データを活用するソリューションとデータを収集するコンポーネントから構成される。2023年度に売上高6400億円、営業利益16%で、売上高比率はデータ活用ソリューションが3割、データ収集コンポーネントが7割となっている。ここから7年後の2030年度には、売上高が71%増の1兆1000億円、営業利益率で同7ポイント増の23%を目指す。武田氏は「2030年度の売上高比率はデータ活用ソリューションが6割、データ収集コンポーネントが4割を想定している。ビジネスユニット間での掛け合わせを行うデータ活用ソリューションを伸ばして利益率を高めていく。とはいえ、正直に言ってIT企業ではないので、Serendieでスマートにしたハードウェアをベースにしたソリューションで勝負していきたい」と述べている。
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