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「循環型デジタル・エンジニアリング」に勝負を懸ける三菱電機が進める2つのDX製造マネジメントニュース(1/2 ページ)

三菱電機は、投資家向けの経営戦略発表会を開催。中期経営計画の進捗度を説明するとともに、新たな成長の軸として打ち出す「循環型デジタル・エンジニアリング」の推進方法について紹介した。

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 三菱電機は2023年5月29日、投資家向けの経営戦略発表会を開催。中期経営計画の進捗度を説明するとともに、新たな成長の軸として打ち出す「循環型デジタル・エンジニアリング」の推進方法について紹介した。

経営効率の最大化に向けて事業ポートフォリオを再構築

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三菱電機 代表執行役社長 CEOの漆間啓氏

 三菱電機では2021〜2025年度(2022年3月期〜2026年3月期)の5カ年の中期経営計画を推進しており2023年度はその中間年度となる。最終年度の目標として従来は売上高5兆円、営業利益率10.0%、ROE(自己資本利益率)10.0%を目指していたが、2022年度に既に売上高は5兆円を達成。そこで、あらためて最終年度目標を売上高5兆円以上に引き上げた。「売上高を現在の水準以上に維持しながら、営業利益率やROEなど資本効率を高めることに重点的に取り組んでいく」と三菱電機 代表執行役社長 CEOの漆間啓氏は述べている。

 そのため「重点成長事業への強弱を付けた投資」「収益力強化に向けた体制や製品の強化」「ROIC(投下資本利益率)」を基準とした意思決定」「業務DXの推進および付加価値訴求」「低収益事業の撤退/売却およびリソースシフトの加速」の5つに取り組んでいく。

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三菱電機の2025年度目標と2022年度実績[クリックで拡大] 出所:三尾電機

 これらの方向性のもと、事業ポートフォリオの再整理と再編を進める。重点投資事業として「ビルシステム事業」「空調冷熱事業」「パワー半導体事業」「FA制御システム事業」を位置付け、重点投資による成長加速を進めていく。

 一方で従来は重点投資領域に位置付けていた電動化・ADAS事業は分社化による再構築を進めていく。今後は技術シナジーを見込めるパートナーとの協業を進める考えだ。また、既に撤退や売却が決まっているカーマルチメディア事業、インジェクタ事業、液晶テレビ事業、液晶ディスプレイ事業などの他にもいくつかの事業で既に撤退や売却を行うことを決定済みだという。「人やモノ、資金などのリソースを重点事業に集中する」(漆間氏)。再編事業の売上高規模は、既に発表済みの事業と合計して3000億円程度になるとしている。

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三菱電機の事業ポートフォリオ[クリックで拡大] 出所:三菱電機

3つの風土改革を推進

 また、持続的な成長を実現するために3つの風土改革を進める。1つ目は品質風土改革だ。エンジニアリングプロセスの変革を進め、「現場が品質不適切行為を起こす必要のない仕組み」を構築する。具体的には、品質管理のリソースと負荷の見える化を推進し、工場健康診断を通じたモノづくりの4M環境の見える化に取り組む。2022年度内に既に27拠点の工場健康診断を完了している。また、データに基づく品質管理を実現するため、統計的品質管理手法(SQC)を活用し対象となる10製作所で代表製品の重点管理項目41項目も選定した。試験仕様書における顧客との合意プロセスのモニタリング方法なども決めたという。

 さらに、設計のフロントローディング化を推進し、設計デザインレビュー(DR)に新たな手法であるQuick DRを導入するため研修を実施。設計者を育成するDRシニアエキスパート制度を導入し、8技術分野にエキスパートの設置を行った。これらの取り組みを、他の技術分野にも拡大する計画だという。

 2つ目が組織風土改革だ。全社変革プロジェクト「チーム創生」(2021年10月発足)が策定した組織風土改革の指針「骨太の方針」に基づき、「経営層自らの変革」「管理職の行動変容」「コミュニケーション活性化」の各種活動を推進し、“上にモノが言える”“課題解決に向けて皆で知恵を出し合える”双方向コミュニケーションが可能な風土を醸成する。

 3つ目がガバナンス改革である。取締役会の業務執行に対するモニタリング機能を高度化してガバナンスを強化し、社内外コミュニケーションを活性化することにより、透明性のある経営を実施する。

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