三菱電機が子会社の品質不正調査を完了、41社中5社12件は多いのか少ないのか:品質不正問題
三菱電機が子会社における品質不適切行為に関する調査結果を発表。5社で12件の不適切行為が確認された。
三菱電機は2023年4月14日、同社の子会社における品質不適切行為に関する調査結果を発表した。調査対象となったのは、国内関係会社のうち出資比率50%超で、かつ品質不適切行為が発生した三菱電機の製作所と関連があり、開発/設計/製造/据付/保守事業を営む41社である。これらのうち5社で12件の不適切行為が確認された。いずれも顧客などとの契約に関わる問題で、安全性への影響はなく、製品に関わる法令違反、規格違反も確認されなかったという。
品質不適切行為が発覚したのは、社会システム事業本部管轄の三菱電機社会インフラ機器(兵庫県丹波市)、電力・産業システム事業本部管轄の多田電機(兵庫県尼崎市)、FAシステム事業本部管轄の甲神電機(岡山県笠岡市)、自動車機器事業本部管轄のデービー精工(兵庫県姫路)と姫菱テクニカ(兵庫県姫路市)の5社である。各社が行っていた品質不適切行為は表1の通り。甲神電機で2件、デービー精工で7件あり、残り3社は1件ずつとなっている。
なお、デービー精工の7件の品質不適切行為のうち2件は、管轄元である自動車機器事業本部の三田製作所と姫路製作所からの指示であることが判明している。
これら12件の他、三菱電機本社と子会社間での契約違反が16件あったが、いずれも三菱電機と顧客との関係において問題はなかったとする。また、今回の調査の過程で、三菱電機における顧客との契約に関わる品質不適切行為(異音検査未実施)が1件判明したが、2009年12月に恒久対策措置済みだったという。
今後の対策としては、2022年10月の調査終了を受けて発表した再発防止策を子会社にも展開していくことになる。「当社(三菱電機本体)製作所における品質不適切行為と同様、主に現場に生じさせてしまった問題と考えている。従って今後は、当社が推進する品質風土改革/けん制機能の強化策を関係会社にも水平展開、浸透させていく」(ニュースリリースより抜粋)。
実際に、調査の中で品質不適切行為のリスクが低いと判断された25社にこの水平展開を先行実施しており、アンケート調査を行って品質診断手法の改善に生かすとしている。今回実施した品質診断は、海外を含むその他の関係会社にも継続的に実施していく。その対応状況については、品質、組織、ガバナンスの3つの改革の進捗に含めて、三菱電機のWebサイトなどで開示していくとしている。
三菱電機本体の調査とは形式が異なる
なお、今回の子会社に対する品質不適切行為の調査は、三菱電機本体で実施した西村あさひ事務所を中心とした調査委員会が主導する調査とは形式が異なり、以下のような手順で進められた。
- 1)2022年10月発表の調査結果を基に三菱電機の品質改革推進本部が策定した「自己診断チェックシート」により、41社各社が自己診断(一次診断)を実施
- 2)品質改革推進本部と関係会社管轄の各事業本部の合同チームが、各社と対面で自己診断結果の相互確認(二次診断)を実施
- 3)診断結果から品質上のリスクを有する可能性があると判断した16社については、三菱電機が従業員に対してアンケート調査(対象者7271人、回答率89%)およびヒアリングを実施し、要調査事項を抽出の上、不適切行為の有無などを調査(診断結果から今回リスクが低いと判断した25社には三菱電機の品質風土改革施策を水平展開しており、今後、品質診断手法の改善を図る観点からもアンケートを実施する)
- 4)調査結果について、三菱電機の調査の実施主体となった調査委員会に参画した西村あさひ法律事務所が各案件の妥当性、適正性を確認
3)で行った16社の従業員に対するアンケートおよび従業員へのヒアリング時の新たな申告から、合計384件の要調査事項を抽出し、全ての調査を終了した。結果として得られたのが、今回の5社12件の品質不適切行為となっている。
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