旭化成が設立した、高い品質要求に応える半導体感光性絶縁材料の新品証棟とは?:工場ニュース(3/3 ページ)
旭化成は、静岡県富士市の富士支社で見学会を開き、デジタルソリューション事業で展開する、電子材料の感光性絶縁材料「パイメル」などの取り組みを紹介した。
ノバキュアの成長戦略とは?
ノバキュアは、カメラモジュールや次世代半導体パッケージ実装の接着剤に使用されるエポキシ樹脂用潜在性硬化剤で、電気/電子分野を中心に幅広く採用されている。特徴は採用されているマイクロカプセル技術により貯蔵安定性と低温での即硬化性を実現している点で、熱に弱い電子部品周辺の接着にも使える。
今後は、硬化剤なしで熱硬化可能な一液タイプである点や用途に合わせて硬化温度と粘度設計が可能な点を生かし、半導体パッケージ製造工程の高度化に伴う低温実装可能な材料ニーズの高まりを捉えて採用実績拡大を図る。用途としては、半導体パッケージ基板と半導体チップの接着、半導体パッケージ基板とプリント基板の接着、アセンブリの接着で展開する。
プリント配線板用ガラスクロスは、プリント基板の補強材/絶縁材として使用できるガラス繊維の織物で、旭化成では、低損失で高速通信を実現する低誘電のプリント配線板用ガラスクロスなど、カスタマイズ品の提案により採用実績を伸ばしている。さらに、通信端末/通信インフラの高速化と大容量化が進展する中、スマートフォンやタブレット端末といった小型/薄型デジタル機器に使われる極薄のガラスクロスなどの開発も推進している。
今後は、AI(人工知能)の需要拡大を踏まえて、AIサーバ向けに低誘電のプリント配線板用ガラスクロスを展開する他、通信端末、半導体パッケージ、高速通信用サーバ向けのルーター/スイッチを対象に、高機能なプリント配線板用ガラスクロスを開発し需要拡大を捉え、2030年までにプリント配線板用ガラスクロスの売上高を2022年と比べ3倍とする見込みだ。
サンフォートは、プリント基板や半導体パッケージ基板の回路形成に使用される感光性フィルム材料だ。同材料は、グローバルで高いマーケットシェアを有す業界大手へ供給されており、拡大する先端半導体パッケージ領域で採用が拡大しているという。今後は先端パッケージ基板向けの開発を強化することでシェアの拡大を目指す。
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