船井電機がLED外観検査装置を内製、目視検査と比べ工数を8分の1に圧縮:ものづくり ワールド[東京]2024
船井電機は、「第36回 ものづくり ワールド[東京]」内の「第2回 ものづくりODM/EMS展」において、受託生産事業の生産ラインで活用しているAI技術を活用したLED外観検査装置を披露した。
船井電機は、「第36回 ものづくり ワールド[東京]」(2024年6月19〜21日、東京ビッグサイト)内の「第2回 ものづくりODM/EMS展」において、受託生産事業の生産ラインで活用しているAI(人工知能)技術を活用したLED外観検査装置を披露した。
「FUNAI」ブランドの液晶テレビや有機ELテレビなどで知られる船井電機だが、約20年前から中国船井電機を中心に受託生産事業を展開している。テレビの技術を基にした液晶ディスプレイ関連が中心だが、近年が車載向けバックライトなどの需要が拡大している。
今回展示したLED外観検査装置は、車載向けバックライトの生産において不具合のあるLED素子を見つけ出すために内製設備として開発したものだ。「基盤に実装されたLED素子の不具合の検査は、さまざまな角度から1つ1つを目視で確認する必要があり多くの工数がかかっていた。このため抜け漏れも起こりがちで、不具合のある製品が流出することもあった」(船井電機の説明員)。
開発したLED外観検査装置は、基板上に搭載された約90個のLED素子を2台のカメラで左右から撮影し、ディープラーニングで構築したAIアルゴリズムに基づき割れや欠けの有無を自動で判定する。目視検査から装置による自動検査に移行したことで、検査にかかる工数を約8分の1に削減でき、製品出荷における信頼性向上にもつながったという。また、基板上に印刷されている製品バーコードの読み込みも行うことで、トレーサビリティー管理の自動化にもつなげているという。
船井電機はこの他にも、コネクターロック忘れやテープ貼り忘れなどの組み付け不良、部品形状の不良など検出するAI外観検査装置も内製しており、受託生産事業の品質向上に努めている。
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