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エッジであれエンドポイントであれ今こそ現場にAIを実装すべしMONOist 2024年展望(1/3 ページ)

2023年に大きな注目を集めた生成AIは、膨大なパラメータ数とあいまってAIモデルをクラウド上で運用することが一般的だ。2024年は、AIモデルを現場側に実装するエッジAIやエンドポイントAIを活用するための技術が広く利用できるようになるタイミングになりそうだ。

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 2023年の1年間、AI(人工知能)にまつわる話題はChatGPTに代表される生成AIが中心になったと言っていいだろう。MONOistでも生成AI活用に関する記事が多く読まれた。

 1年前の2022年末時点において、製造業におけるAI活用は進捗が停滞していた感もある。AIに先行して大きなテーマとなっていたIoT(モノのインターネット)が、より活用を進化させていく企業がある一方で、PoC(概念実証)止まりに終わってしまう企業も多くいたのと同様の流れが生まれつつあった。

 そういった意味で生成AIという新たなテーマの登場は、製造業におけるAI活用に再び活気をもたらす起爆剤になっている。この活気が失われないうちに、各企業がどのような取り組みを進めるかが重要だ。

 ただし、膨大なパラメータ数のAIモデルを駆使する生成AIはリソースに余裕のあるクラウド上での運用が前提となる。企業ITとしてのAI活用であればクラウドベースであることに問題はないが、製造業ならではのAI活用という観点ではエッジやエンドポイントと呼ばれる現場側に実装することに着目すべきだ。そして2024年は、これらのエッジAI/エンドポイントAIを活用するための技術が、組み込み機器の開発で広く利用できるようになるタイミングでもある。

⇒「MONOist 新年展望」バックナンバーはこちら

エッジAIとエンドポイントAIの違い

 ここでいったんエッジAIとエンドポイントAIの違いについて説明しておこう。どちらも、クラウドではなく現場側の機器にAIモデルを実装するという意味合いでは同じだ。ただし、その現場側の機器は、エッジAIがプロセッサベースでOSがLinuxやWindows、エンドポイントAIがマイコンベースでOSがリアルタイムOSやベアメタルという点で異なる。

 MONOist組み込み開発フォーラムでは、プロセッサベースとマイコンベースのどちらも「組み込み機器」という大枠で扱っているが、処理能力やメモリ容量、消費電力などの観点で見ればその差は大きい。通信機能についても、プロセッサベースの組み込み機器はイーサネットやWi-FiなどIPベースの通信を行えるが、マイコンベースの組み込み機器はBluetoothをはじめとする低消費電力の通信しか利用できないことがほとんどだ。

 開発手法も、Webシステムで用いられている「クラウドネイティブ」などの最新トレンドにも影響されるプロセッサベースの組み込み機器に対して、マイコンベースの組み込み機器はハードウェアリソースに合わせて要件を落とし込む従来型の手法で行うのが基本である。

ArmによるクラウドAI、エッジAI、エンドポイントAIの定義
ArmによるクラウドAI、エッジAI、エンドポイントAIの定義[クリックで拡大] 出所:アーム

 次ページからは、エッジAIとエンドポイントAIのそれぞれで、2024年に注目を集めるであろう最新トレンドを紹介しよう。

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