ニュース
電子カルテと治験データ収集システムとの高度なデータ連携に向けた共同研究:医療機器ニュース
国立がん研究センター、中外製薬、NTTデータは、電子カルテに記載された臨床データとEDCとの連携に関する共同研究を実施し、臨床データを電子カルテからEDCへ連携できることを確認した。
国立がん研究センターは2024年6月11日、中外製薬、NTTデータと共同で、電子カルテと治験データ収集システム(Electronic Data Capture:EDC)とのデータ連携に関する研究を実施したと発表した。有害事象や併用薬を含めた電子カルテの臨床データを、EDCへ連携できることを確認した。
研究は、2023年6月〜2024年1月に実施。電子カルテとEDCのデータ連携には、NTTデータの治験DX(デジタルトランスフォーメーション)サービス「PhambieLINQ」を活用した。その結果、PhambieLINQで連携できる患者背景、臨床検査値、バイタルサインに加え、有害事象と併用薬も実試験での利用可能性があることが示された。
また、データ連携により、製薬企業から医療機関への問い合わせ数が削減した。他にも医療機関では、電子カルテからEDCへの転記作業時間について1例当たり1時間程度の削減効果を確認。製薬企業では、治験の適切な実施とデータの信頼性などを検証するSDV作業時間が1例当たり1.5時間程度、削減効果があった。
電子カルテに記載された臨床データと製薬企業のEDCとの連携に関する取り組みは広く実施されているが、連携対象となる臨床データは限定的だった。今回の研究成果により、治験で必要となる主要な臨床データの連携が可能であることが示された。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 睡眠時間が短い大学生は喫煙開始リスクが高い
大阪大学は、睡眠時間が5時間未満の大学生は喫煙開始のリスクが高く、特に女性でその傾向が顕著となることを明らかにした。2万6373人の非喫煙者の学生を最大6年間追跡調査した疫学研究の成果だ。 - アイトラッキングを利用した新しい自動視野計の性能を評価
京都大学は、アイトラッキングを利用する新しい自動視野計を開発した。従来式のハンフリー自動視野計と比較した結果、新しい視野計は従来式と遜色のない性能を持つ上、200秒以内で軽度視野障害の検査を完了した。 - アイ・オー・データがUbuntuを担ぐ理由「新たなOSの選択肢を増やしたい」
アイ・オー・データ機器が英国Canonical Group(カノニカル)との間でLinux OS「Ubuntu」のライセンス契約を締結。組み込み機器向けに商用で展開している「Ubuntu Pro for Devices」のプログラムに基づき、アイ・オー・データがUbuntuプリインストールデバイスの販売に加え、Ubuntu Pro for Devicesライセンスのリセール事業を開始する。 - 音声データから認知機能をスクリーニングする検査機器の治験開始へ
積水化学工業は、音声による認知機能検査機器を用いた検査プログラムの検証試験を実施する。認知機能に関するスクリーニング機能や機器の感度、特異度などの有効性を検証する。 - 皮脂RNAの受託分析サービスを開始
花王は、独自開発した皮脂RNAモニタリング技術を用いて、研究機関など向けに皮脂RNAを受託分析するサービスを開始する。 - テルルを含む穀類や豆類の摂取と高血圧との関係性を発見
名古屋大学は、ミネラルの1種テルルの体内濃度が高い人ほど、高血圧の有病率が増加することを明らかにした。穀類と豆類の摂取頻度が高いほど、尿中のテルル濃度が高いことが示された。