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音声データから認知機能をスクリーニングする検査機器の治験開始へ:医療機器ニュース
積水化学工業は、音声による認知機能検査機器を用いた検査プログラムの検証試験を実施する。認知機能に関するスクリーニング機能や機器の感度、特異度などの有効性を検証する。
積水化学工業は2024年6月3日、同社が開発を進めている、音声で認知機能を検査する機器について、医薬品医療機器総合機構(PDMA)による調査が完了し、治験を開始する準備が整ったと発表した。神戸大学医学部附属病院など5施設で、音声での認知機能検査プログラムの検証試験を実施する。
治験では、健常および認知機能低下が疑われる中高年を対象に、被験者の音声データをクラウド上の音声解析プログラムで分析し、認知機能に関するスクリーニングを実施する。また、同機器の感度や特異度などについて有効性を評価する。
音声解析プログラムに使用したアルゴリズムは積水化学工業とPSTが、使用する機器は積水化学工業とドリームメディカルパートナーズ(DMP)が共同開発した。PMDAへの治験届提出など薬事関連業務は、DMPに委託している。
現在、軽度認知障害の検査に一般的に用いられているMoCA-Jは、専門家の問診が必要で、検査に10分以上の時間がかかる。開発中の認知機能検査プログラムは、音声データを取得するだけでスクリーニングが可能で、認知症や軽度認知障害の早期診断システムの構築に寄与することが期待される。
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